福井・鯖江の小さなメガネ店に全国から客が殺到。その理由は最安「レンズ付き2本5000円」のメガネにあった
■手持ちのメガネや処方箋を持参すればOK
この安さから、店頭での検眼などは行なっていない一方、手持ちのメガネや処方箋を持参すれば、それと等しいレンズを作ってもらうことが可能。 店主の荒谷さんは「フレームの形状などによって、厳密には見え方が異なるため完全ではない」と言いますが、それでも筆者の経験上、作ってもらったレンズで何か不便があったことはなく、この安心感もまた「SABAE・OPT アウトレット」に多くの人が訪れる理由でもありそうです。
■今回オーダーした2本のメガネの総額「7500円」
筆者は今回、2本のメガネをオーダーしました。 1本は「レンズ付き1本5000円」、もう1本は「レンズ付き2本5000円」。「レンズ付き2本5千円」のほうは、母の老眼鏡と折半して作ってもらったので、手持ちとしては2本のフレームになります。 レンズの在庫があり、お店が空いているときであれば、数十分でメガネが完成する仕組みですが、そうでない場合は後日郵送で送ってくれます(送料別途)。 筆者はオーダー後、東京まで送ってもらうことにしました。 「レンズ付き1本5000円」はグレーがかった透明の分厚目のプラスチックフレーム。オン・オフどんなシーンでも合いそうで普段使いにもってこいです。 「レンズ付き2本5000円」は携帯用の老眼鏡。出先で細かい字を見なければいけない際に気軽に使える軽いもので、「SABAE・OPT アウトレット」のド定番。こちらもまた、どんな顔カタチの人にもフィットする汎用性の高いフレームです。
■破格の安さで提供できる「鯖江ならでは」のとある理由
このように信じられないほどの安さを実現する「SABAE・OPT アウトレット」ですが、そもそも店主の荒谷さんが店を始めた理由は、メガネの町・鯖江ならではのとある事情があったと言います。 【「鯖江でメガネ作りに関わる業者数は、『4人以上の事業者』では統計上250弱です。しかし、実際は1~2人の業者が多く、統計よりも遥かに多くの人たちがメガネ作りの仕事をしていると思われます。 他方、メガネは、製造の注文が入ったとしてもオーダーの数だけを作るわけではなく、不良品やクレームを受けた際の対応分として数パーセント多めに作ります。また、メガネメーカーが、ファッションブランドに自社製品をプレゼンする場合、同じフレームで何色ものパターンを作る場合があります。そこで採用されなかった『色違い』は不必要となります。 こういった事情から、鯖江の大きなメガネメーカーの一例では『月のメガネ廃棄処分量が2万本』なんていうケースもありました。『これはもったいない』と、行き場を失ったメガネを安く譲ってもらいアウトレットとして販売する『SABAE・OPT アウトレット』を始めることにしました」(荒谷さん)】 始めてからの数年間は、本来の店「SABAE・OPT」での営業との兼ね合いで月に数回程度の限定営業でした。しかし、口コミで「SABAE・OPT アウトレット」の安さが広がっていき、やがて全国からメガネを求めて多くの人がお店にやってくる事態に。それを受け、スタッフを補強し「不定期」としながらも週に4日ほどの営業を実施。毎月の営業日は公式サイトで告知されるようになりました。 ただし、「SABAE・OPT アウトレット」はJR鯖江駅から3.5kmほどの距離。クルマなどの自走でない場合、タクシーなどで訪れるのが現実的でしたが、今年オープンしたJR福井駅からほど近い「SABAE・OPT」福井駅口店の一部コーナーでも、期間限定でアウトレット商品をラインナップ。つまり電車旅の途中でも、アウトレットメガネを購入できるようになったというわけです。 【「メガネは生活用品・医療用具ですから、本来は生活圏内のメガネ屋さんで買っていただきたいです。なぜなら『何かの際にはすぐにメガネ屋さんで見てもらわないといけない』からです。 これらから言うと、メガネのアウトレット品は、必ず満足いただけるものをご提供できているわけではありません。遠方からお越しいただく方には特にこの点をどうかご理解いただいた上で、ご利用いただければ幸いです」(荒谷さん)】 東京からたびたび「SABAE・OPT アウトレット」を訪れる筆者に「そんなにたくさんメガネを作ってどうするんですか」と笑う荒谷さんですが、今日もまた「鯖江ならでは」のフレームが入っているのではないかと思うとジッとしていられなくなります。北陸方面を旅行される方はぜひ行ってみてはいかがでしょうか。その価格・品質に驚くはずですよ。
<取材・文=松田義人(deco)>