村上春樹 サイモン&ガーファンクルの解散を振り返る「まさに絶頂期にあるチームが突然ぽっかり消滅してしまった。みんなびっくりしました」
◆Bob James「Take Me To The Mardi Gras」
ポールとサイモンはコンビを解消し独立したあと、より大きく音楽の幅を広げていきます。自分のスタイルを固定することなく、過去に固執することなく、レゲエやラテン音楽、アフリカの音楽、ゴスペル、ジャズ、そんな、さまざまな音楽の要素を積極的に取り入れ、彼独自の音楽世界を作り上げていきます。 サイモンはコンビ解消後、1972年に自己名義アルバム『ポール・サイモン』を発表し、このアルバムからは2曲のヒットソングが出ています。「母と子の絆」と「僕とフリオと校庭で」です。 「母と子の絆」はジャマイカで録音されたし、「僕とフリオと校庭で」はラテン音楽の強い影響を受けているし……、と彼の音楽は次第に、自由で幅広いワールド・ミュージック的な色彩を帯びていきます。 そして1973年には独立後第2作『ゼア・ゴーズ・ライミン・サイモン』を発表し、これも好評を博します。ザディコ音楽やゴスペルの影響をうかがわせるアルバムでした。ここからは「ラヴズ・ミー・ライク・ア・ロック」と「僕のコダクローム」がシングルカットされ、ヒットしました。このアルバムには他にも「マルディグラに連れてって」という素敵な曲も入っています。ボブ・ジェームズの軽快な演奏で聴いてください。
◆Ray Charles「Still Crazy After All These Years」
それに続いて、彼は1975年に『Still Crazy After All These Years(時の流れに)』を発表します。このアルバムはヒットチャートの1位を飾り、その年のグラミー賞も獲得しました。このあたりはもう「向かうところ敵なし」という感じですね。このアルバムには、スティーヴ・ガッドやリチャード・ティーをはじめとして、フュージョン系の一流ミュージシャンが参加し、これまでのサイモンの音楽とはまた少し違うテイストが付け加えられました。 聴いてください。レイ・チャールズの歌う「時の流れに(Still Crazy After All These Years)」。これだけの歳月が流れても、僕はまだ君に夢中なんだ。レイ・チャールズ、この人が唄うと、とにかくなんでもこのひとの歌になっちゃいます。