日本株の「バリュー」と「中小型株」に大きな魅力、イーストスプリングの着目点
この東証の市場改革と企業のコーポレート・ガバナンス改革、そして、それに伴う企業の株主資本利益率(ROE)改善の可能性が「バリュー株に大きな影響を与える」と見通している。企業がROEを改善させることを目的に余剰資金の活用や株式持ち合いの解消などを積極的に実施すれば、これはPBR1倍未満で取引されている企業の株価にはインパクトがある。「複数の大企業が計画を発表しているが、今後は中堅・中小企業にも動きが広がる」と予想している。
そして、企業が継続的にバランスシートの効率化と長期的な収益性の確保に不可欠な企業改革を推し進めることによって、不採算部門の切り離し、コスト削減とより適切な資本配分による業績見通しの改善が進むとみている。その結果、「最終的にはROE改善によって日本企業への再評価は続くだろう」とする。
一方、市場では日銀が2024年にマイナス金利政策の解除と長期金利を低く抑え込む長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を撤廃することを予想し、これによる金利上昇が株価上昇の頭を抑えるとの懸念がある。これに対しては、「マイナス金利政策を解除してもその後の大幅な利上げは想定されておらず、また、YCCを撤廃しても国債の買い入れは継続することが予想され、しばらくは緩和的な金融政策が続くだろう。これは日本企業にとってはポジティブな材料となるだろう。金利の正常化については健全な経済の証とみなされるべきだ」と指摘する。
日銀の金利正常化への動きに対し、米国は今後は金融緩和に動くことが見込まれ、日米の金利差が縮小し、為替相場が円高に向かうことが見通されるが、「円高は一部の輸出依存型企業には逆風となるかもしれないが、価格上昇とマージン(利幅)改善で相殺できる」とみている。イーストスプリングでは、「ドル円相場の長期平均水準である1ドル=115~120円を前提に考えても、日本企業の業績トレンドの改善は維持できる」とみている。