サッカーコラム 日本にホームで敗戦のサウジサッカー界が抱える「一番の問題で唯一の問題」
【No Ball、No Life】2026年W杯北中米3カ国大会のアジア最終予選で、日本は敵地でサウジアラビアに2－0で勝利した。日本が過去3戦全て0－1の完封負けで、ゴールすら奪ったことのない鬼門で史上初の最終予選開幕からの3連勝をした一方、ここまで1勝1分け1敗と苦しむサウジアラビアには、ある課題が浮上している。 【写真】現地に住む子どもと記念写真におさまる吉田麻也、相馬勇紀 それは代表選手が所属チームで出番を失っていることだ。近年、サウジアラビアリーグは欧州などの有力選手を巨額の契約で獲得している。昨年12月にはポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドが年俸2億ユーロ（当時、約280億円）でアルナスルに入団した。サウジは今回招集した28人のうち、国内組が25人。リーグは外国人枠を8人から10人に拡大したことで同国代表の選手たちが控えに追いやられている。 例えば、アルナスルからは今回7人が代表入りした。しかし、国際Aマッチ期間前最後のリーグ戦となった10月6日の試合で先発したのは、その試合で負傷して代表を辞退したDFアルガンナムと、MFのA・ハイバリのみ。ロナウドやクロアチア代表のMFブロゾビッチら世界的なスターが出場するなかで、5人は先発ができなかった。 サウジ代表を率いるイタリア出身のマンチーニ監督は9月に続き、日本戦の前日会見でもこのことに言及。「3年前は全選手が（所属チームで）試合に出場していた。しかし、今は50－60％が試合に出ていない。一番の問題で唯一の問題だ」と、吐露した。今回の最終予選の苦戦には代表選手の試合感のなさも無関係ではない。 国内リーグのレベルは欧州や南米の有力選手を〝爆買い〟すれば短期間で確実に上がる。しかし、現状ではそれが代表の強化にはつながっていない。34年のW杯にはサウジアラビアが唯一、立候補しており、3大会後に開催国になることは濃厚だが、そこに向けていかに自国の選手を育成していくか考えていく必要がありそうだ。（山下幸志朗）
