金正恩総書記の本意はどこに?米インテリジェンスも四苦八苦…重要性増す「偵察衛星」【ワシントン報告⑭北朝鮮情報の収集】
▽核は「威圧」に利用 米国家情報長官室で北朝鮮分析官を務めたマーカス・ガルラウスカス氏は昨年の論文で、米国が中国および北朝鮮と二正面で戦う状況や中朝が核兵器を使う可能性も十分想定すべきだと提言した。国家情報長官室は昨年、北朝鮮の核に関する国家情報評価(NIE)の一部を公表した。 北朝鮮に関しては30年以上ぶりの見直しになる。北朝鮮が今後、核兵器を「威圧的」「攻撃的」「防御的」のいずれの目的で使う可能性が高いかについて判断した。威圧的に使う可能性が最も高いものの、仮に攻撃として使われた場合は、米国と同盟国に与えるリスクが最も高くなるとしている。それほど驚きはないが、手持ちの情報を積み重ねた上での判断は重い。 金正恩体制の維持を最優先とする北朝鮮は、国際社会の圧力にもかかわらず、着実に核・ミサイル技術を進展させてきた。ガルラウスカス氏は、米国の対北朝鮮政策は「『懲罰による抑止』から『否定による抑止』に転換すべきだ」と言う。国際ルールを無視した北朝鮮の行為に対し懲罰的に対応している時期は既に過ぎ、北朝鮮を圧倒する能力を米韓が備えることで、北朝鮮の核・ミサイル開発が無意味なものになるようにすべきだと考える。
北朝鮮の分析で何が一番難しいかを尋ねると、「『戦術的サプライズ』の予測だ」と語った。局地的な砲撃やサイバー攻撃といった戦術的攻撃は、公開情報や部隊の動きで事前につかむこともできる戦略的攻撃よりも予測が難しいという趣旨だ。