上原が苦言 ファンの乱入が繰り返されるメジャーリーグ
大リーグ・レッドソックスの本拠地フェンウェイパークで、8月16日(日本時間)に行われたアストロズ戦で、九回二死から一部のファンがグラウンドに乱入する騒ぎがあった。一塁側客席からフェンスを越えて走り出たファンが二塁付近で警備員に取り押さえられるまで、試合は一時中断。マウンドにいたのは、九回から救援した守護神・上原浩治投手(39)だった。二死を奪った後、3人目の打者にカウント2-2と追い込んでいたが、試合再開の1球目を中越本塁打され、続いて、安打と死球でピンチを背負った。続く打者を一ゴロに打ち取って逃げ切ったが、後味の悪さが残る試合になった。 「まだまだ自分の未熟さや心の乱れを勉強させてもらいました」と苦笑いで振り返った上原は、「4点差あったからよかったけれど、1点差だったらとんでもないことになっていた。僕らは生活を賭けてやっていますから。ああいうことはやめて頂きたい。やっぱりリズムも変わりますしね。繊細なポジションですから」。前日15日の試合に続く2日連続で起きたファンの乱入騒ぎにキッパリ苦言を呈した。一瞬の出来事で大きく流れが変わるのが野球。上原の被弾は後半戦初。死球はメジャー6年目で2度目という希有さだっただけに、いかに、不意の侵入行為が、精密機械を狂わせたかが伺える。 この手の一般ファンによるフィールド乱入は、メジャーでは結構頻繁に起きる。フェンウェイパークもそうだが、一般にメジャーの球場の内野フェンスは低く、簡単に飛び越えられる高さ。ファウルネットもないので、それだけフィールドとの一体感があり、観衆は臨場感溢れる野球観戦を享受できる。過去には1976年のリーグ優勝決定戦第5戦でクリス・チャンブリスがサヨナラ本塁打を放ってヤンキースの優勝を決めた瞬間、驚喜したファンが一斉にグラウンドに雪崩込んで、ヒーローをもみくちゃにしたシーンが有名だ。2012年6月1日のカージナルズ戦でメッツのヨハン・サンタナ投手がノーヒット・ノーランを決めた瞬間、思わずフェンスを乗り越えて歓喜の輪に加わった一般男性もいた。変わったところでは、2002年4月5日のヤンキースの本拠地開幕戦で女性ファンが自分の電話番号を書いたメモをジーター内野手に手渡したケース。今年は5月9日のブルワーズ戦で、ヤンキースの田中将大が登板中、ジーターにハグを求めて近づいた男性ファンもいた。この手の話は、”熱狂的ファンの行き過ぎた行為”として、メディアで若干、酌量を含む取り上げ方をされることもありがちで、一部ファンの愚行を助長させる原因ともなっている。