韓国国民として受け入れてあげたのに…「思想転向を強要された」として国家賠償求めた北スパイ、一審敗訴【独自】
国家情報院は廉氏の陳情に対し、「一般の脱北者と同様、住民登録に関連する支援を受けるには、転向意思を表明するか、(転向の有無に関係なく)裁判所で住民登録手続きを踏むことが可能だ」と回答した。しかし、廉氏は「思想の自由を侵害している。転向するつもりはない」との立場だった。廉氏は転向しないままで家庭裁判所に住民登録申請を行い、裁判所の審判を経て、昨年1月に正式に住民登録を終えた。行政機関から住民登録証も受け取った。 その後、廉氏は今年5月、「警察や国家情報院、法務部所属の公務員が『住民登録、住居、職業問題などの問題を解決するには思想転向しなければならない』と強要した。基本権と人権を侵害された」と主張し、国家賠償訴訟を起こした。廉氏は「国家が住民登録証の交付に応じなかったため、経済活動を行ったり、治療を受けたりすることができなかった」とし、財産上の損害8000万ウォンと精神的苦痛に対する慰謝料2000万ウォンの合計1億ウォンを請求した。 事件を審理した一審のソウル中央地裁はこのほど、廉氏の訴えを退けた。同地裁は「北朝鮮離脱住民法に基づき脱北者が国家の支援を受けるためには、保護を受ける意思を政府に表明しなければならないが、廉氏は保護を受ける意思を示さず、むしろ北朝鮮に返してほしいと要求した」とした上で、「公務員が廉氏に思想転向を強要したか、それに同調したことを示す具体的な事実は認められない。客観的な資料がない」と指摘した。さらに、「たとえ公務員が住民登録手続きなどを支援しなかったとしても、違法な職務執行とは言えない」とした。 廉氏は一審判決を不服として控訴した。 パン・グクリョル記者