AI版「マンハッタン計画」を提言、対中競争巡り米議会委員会
Anna Tong Michael Martina [19日 ロイター] - 米議会の超党派「米中経済安全保障調査委員会」は19日公表の年次報告書で、先端技術を巡る中国との競争が激化する中、人工知能(AI)版「マンハッタン計画」を立ち上げることを提言した。 人間並みの知能を持つ汎用AI(AGI)開発を進めるには官民協力が鍵になると指摘。ただ、具体的な投資戦略は示さなかった。 マンハッタン計画は第二次世界大戦中に米政府が科学者を総動員して原爆を開発した大規模プロジェクトを指す。 同委員会の委員でデータ解析パランティア・テクノロジーズの顧問を務めるジェイコブ・ヘルバーグ氏はロイターに、「急速な技術変革の時代を最初に制する国が世界の権力バランスに変化をもたらすことが多々あることを、歴史が示してきた」と指摘。中国のAGI開発加速を「深刻に受け止める必要がある」と語った。 対話型AI「チャットGPT」を手がけるオープンAIは先週、米国のAI戦略に関する提案を公表し、政府のAI支援増額を求めた。 同委員会は米中関係に関する提言を毎年公表しており、強硬姿勢で知られている。 今年の報告書では、中国からの800ドル以下の輸入品に関税を免除する「デミニマスルール」の廃止も提言した。 キンバリー・グラス委員は、電子商取引(EC)を通じて大量に小包が輸入され、米税関・国境警備局(CBP)が医療用麻薬フェンタニルなど危険物質の流入を止めるのが難しくなっているため、同ルールの即時廃止が最も重要な提言の一つと強調した。