センバツ2024 創志学園、別海に快勝 好機逃さず着々と得点 /岡山
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)は第3日の20日、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で1回戦3試合があった。7年ぶり4回目出場の創志学園(岡山)は第1試合に登場。21世紀枠で春夏通じて甲子園初出場の別海(北海道)に7―0で快勝した。第88回大会(2016年)以来8年ぶりの勝利で、センバツ2勝目。2回戦は大会第7日の第2試合で、大会連覇を狙う山梨学院(山梨)と対戦する。【山口敬人、藤倉聡子】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 「アグレッシブ・ベースボール」を掲げる創志学園。足を絡めるなど積極的に動き、次々と好機を作るがなかなか得点できない。歯がゆい展開が続いたが、四回、一塁側アルプス席をスクールカラーの青で染めた約2000人の応援団が一気にボルテージを上げた。 敵失などで1死三塁。7番・秦知也(3年)が「走者を還すことしか考えていなかった」ときっちり中犠飛を打ち上げた。待望の先取点に合わせて童謡「桃太郎」のメロディーが高らかに流れる。秦の父和也さん(51)と母薫さん(51)は「けがにもめげず頑張ってきた本人が一番うれしいはず」と息子の雄姿に感慨深げだった。 この1点で流れをつかんだチームは七回に後藤龍太朗(同)が適時打を放つなど、相手のミスにも乗じて着々と得点を重ねた。 先発マウンドに立った背番号1の左腕、山口瑛太(同)は「テンポ良く投げられた」と好調だった。三回までは一人の走者も許さず6奪三振。四回に安打と四球、暴投などで2死二、三塁のピンチを招くがここも三振で切り抜けた。父弘治さん(50)は「ひやひやしたが、いつも通りの投球はできている」と目を細めた。 大量リードにも守られ、山口は14奪三振で完封。昨秋の公式戦を山口とともに二枚看板で戦った右腕の中野光琉(同)は「山口はさすがの投球だった。次は自分の番」と、チーム初の8強入りに向け意気軒高だった。 ……………………………………………………………………………………………………… ■熱球 ◇冷静沈着、守りの要一筋に 後藤龍太朗捕手(3年) 「配球については70点」。捕手としてエースの完封劇を演出しながら、自己採点は合格点ぎりぎりといったところか。 小学1年からずっと捕手という。守り慣れたポジションにこの日も座ったが、あこがれの舞台に「少し緊張した」。それでも動じることはない。「山口はスライダーが決まっていた。それをうまく使えた」。四、六回と走者を三塁に進めたが、ともに最後はそのスライダーでピンチを切り抜けた。 終わってみれば許した安打はわずかに4。三振14を奪って無失点に抑えた。数字を見ればほぼ完璧だが「追い込んでから打たれたり、チェンジアップの使い方で息が合わなかったり」が、自己採点減点の理由らしい。 門馬敬治監督が掲げる超攻撃野球の実現も、堅固な守りが土台にあってこそ。その扇の要は次戦に向けて淡々と「いかに点をやらずに踏ん張れるか。投手と対策を詰めたい」。捕手一筋。どこまでも冷静沈着だった。