神奈川ダービーが示した「2つの強豪」復活の兆し(1)ACL出場3クラブの対戦チーム、「本来の動きが戻った」横浜FMの光明、「決定機を作った」川崎の武器
■広島は好調、神戸は「上位」キープも…
ただ、今シーズンのACLには大きな懸念材料が一つある。日本から参加する3クラブの状態だ。 ACL2に出場するサンフレッチェ広島は好調だ。 8月17日のJ1リーグ第27節で名古屋グランパスを破って、5連勝で2位に浮上。主力選手が海外移籍などで抜かれる中で安定した戦いを続けており、天皇杯やYBCルヴァンカップでも、まだ勝ち残っている(ACLが始まったら、さらに日程は厳しくなってしまう……)。 また、ACLエリートに出場するヴィッセル神戸は今シーズンもJ1リーグで上位をキープ。このところやや足踏み状態だが、それでも5位に付けており、まだ逆転優勝にも望みをつないでいる。 しかし、昨シーズンのACLでファイナリストとなった横浜F・マリノスは、そのACLノックアウト・ステージでの無理が祟ったのか低迷が続いて、とうとうハリー・キューウェル監督が解任されてしまった。 また、かつてのJリーグの絶対王者、川崎フロンターレは今シーズンは負傷者が相次ぐなどのアクシデントもあって低迷を続け、8月17日現在まだ13位という低い順位にいる。
■低迷する2クラブに見えてきた「光明」
このままでは、ACLエリートで日本のクラブが惨敗を喫するのではないかと心配になってしまう。 しかし、低迷していた横浜FMや川崎にも、ようやく光が見えてきてようだ。 8月17日には、川崎と横浜FMがUvanceとどろきスタジアムで対戦。横浜FMが3対1で勝利した。 勝利した横浜FMは本来の動きを取り戻していたし、3失点で敗れた川崎も内容的にはけっして悪い試合ではなかった。 これだけの戦いができるのであれば、ACLでも十分に戦えるはず。すでにJ1リーグの優勝争いに絡むことは困難な状況であるのだから、ACLに力を注いでほしいものだ。 川崎と横浜FMの試合は、前半の20分以降は川崎が完全に試合をコントロールして決定機を作り続けた。 大きな武器となったのが、マルシーニョのドリブルだった。 ロングパスを使ってマルシーニョを走らせた。22分にはマルシーニョのシュートが枠を捉えたが、横浜FMのGKポープ・ウィリアムが反応してCKに逃れた。27分にはマルシーニョが山田新とのワンツーでいわゆるポケットを取り、マイナスのクロスに合わせて脇坂泰斗がシュートを放ったが、ポープがまたも好守を見せてCKに逃れた。32分には大島僚太を起点に右から崩して、ファンウェルメスケルケン際のクロスを家長昭博がヘディング。39分には家長のシュートが右ポストを直撃。前半アディショナルタイムには脇坂が直接FKを狙う……。 後半に入っても、49分の山田のヘディングがクロスバーを直撃し、54分にはマルシーニョが抜け出す(オフサイド)など川崎の攻勢は続いた。
後藤健生
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