前首相・岸田文雄さん67「薄暗くて寂しかった広島駅、それでも家に帰った気持ちに」
駅は、旅立つ人の出発地であり、故郷に帰る人を迎える場でもある。常に姿を変えてきた広島駅の「あの日」を語ってもらった。 思い出といえば、東京駅から乗った寝台列車。小中学生の頃、春や夏の休みに、広島市南区にある父の実家へ行くため利用しました。父は仕事が忙しく、私1人か弟と帰ることが多かったですね。
東京―広島間は新幹線で約4時間ですが、寝台列車だと10時間以上かかることも。車窓から見える夜景は美しく、旅の高揚感がありました。 広島に到着するのは薄暗い朝。今では多くの人でにぎわっていますが、当時、駅やその周辺は閑散として、どこか寂しかった。それでも家に帰ったような気持ちになるので、いつも楽しみでした。
政治家としても大切な拠点です。広島空港(三原市)の開港以降、東京との移動は飛行機が増えましたが、近畿や九州に行く時は新幹線を使います。乗車中は「むさし」で買った弁当を食べたり、読書したりします。 新駅ビルには、インバウンド(訪日外国人客)を含めたにぎわいの創出を期待します。中四国地方の経済の中心地として、どんな姿になっていくのか。待ち遠しい限りです。(聞き手 岡本与志紀)