【相続対策なし】恐ろしい…50代根なし草サラリーマン、老母急死で世田谷の豪邸の相続税に「体の震えが止まらない」〈相続専門税理士が解説〉
都市部に実家がある方の場合、不動産の評価が高額となりがちなため、相続税に頭を悩ませることも多々あります。50代のある男性は、世田谷区の広い実家を相続することになりましたが、母親が贅沢好きのため、残された金融資産はわずか…。相続税におびえています。対応策はあるのでしょうか? FP資格も持つ公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
母と別居の息子、実家不動産の相続で「相続税の恐怖」に震える
先日、私の70代の母が急死しました。 母は父が亡くなってから長くひとり暮らしで、数年前からは高級老人ホームに入所していました。母親はもともと贅沢好きな人で、老人ホームへの入所にもかなりお金を使ってしまったようで、あまり預貯金が残っていません。 私はサラリーマンですが、ずっと独身なうえ、転職を繰り返して職場やアパートを転々としてきたことから、両親との折り合いは最悪でした。母とは必要最低限の連絡しか取っていなかったため、実家のお金の状況などもよくわからず、世間でいう「相続対策」も一切していません。 私が相続する実家は、世田谷区の450平米の広い土地と大きめの建物なのですが、お恥ずかしい話、相続の知識もなく、相続税のことを考えると、あまりに心配で体の震えが止まりません…。いったいどうしたらいいのでしょうか。 50代会社員・男性(府中市在住)
「小規模宅地等の特例」の適用で、相続税の課税額を大幅圧縮
実家の土地の相続税を安くする方法に、「小規模宅地等の特例」があります。 「小規模宅地等の特例」とは、亡くなった方が住んでいた家の敷地や、事業を営んでいた土地などを相続した場合、相続税が減額される制度です。 自宅の相続に多額の相続税がかかるとなると、納税資金を用意するために自宅を売却し、相続人が住む場所を失ってしまう、といったことが起こりかねません。そのような事態を防止し、相続人が住む土地や事業を失わないようにするために「小規模宅地等の特例」は制定されました。 この制度は、相続人が別居している場合でも活用することができますが、限度面積が330平米のため、450平米の土地の全体に使うことはできません。 また、配偶者や同居していた親族などへ適用が原則ですが、同居していなくても一定の要件を満たすことで制度が適用される場合があります。それが「家なき子特例」です。