インバウンド調査2024、訪日旅行中にオーバーツーリズムを経験した人が3割、サステナブル意識は行動とのギャップも
日本交通公社(JTBF)が日本政策投資銀行(DBJ)と共同で発行したレポート「DBJ・JTBFアジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2024年度版」。日本の観光地の維持・存続への貢献について認識が進んでいる一方、特に地域社会に関する内容では意識と行動にまだ大きな乖離があるとの調査結果が明らかになった。
観光資源の保護、混雑緩和のための金銭負担に理解
これによると、訪日旅行中にトラブルや面倒を見聞きした経験では、約3割が「観光地・観光施設の混雑」と回答。「観光資源や施設を劣化させる行為」(13%)、「宿泊施設でのトラブル」(11%)と続いており、コロナ禍前の2019年度と大きな差はなかった。 一方、観光資源・施設の混雑緩和や保護のため金銭を負担することについては、63%が賛成と回答し、2019年の43%から20ポイントも増加した。また、海外旅行先や宿泊施設の検討でサステナブルな取り組みを重視する人の割合は、ここ数年、7割程度と高水準で推移している。 「今後実践したい(意識)」サステナブルな取り組みと、「実施した(行動)」サステナブルな取り組みは、多くの項目で意識が行動を上回った。特に、「地域の事業者が販売する商品、サービスを適正価格で購入する」、「混雑を回避するため、比較的空いている時間帯に訪問する」、「地域の祭りや行事等に参加する」など地域社会に関連する項目で意識と行動の乖離が大きく、まだ行動が伴っていない様子がうかがえる。 一方、「資源保護のための協力金等を支払う」、「伝統工芸品等の模造品を購入しない」、「宿泊施設におけるアメニティグッズを辞退する」、「宿泊施設におけるリネン類の交換を辞退する」は行動が意識を上回った。
自国での日本体験が訪日意向に
自国で実施した日本に関する活動についても調査。日本食体験、日本のアニメ、マンガを楽しむ、日本企業の製品の購入などの日常体験が上位に入り、こうした活動を通じて、日本を好きな度合いや訪日意向は総じて高まっているようだ。また、イベントやオンラインツアーの実施率は相対的に低いものの、訪日意欲の向上に一役買っていることもわかった。 2025年4月開幕の大阪・関西万博については、訪日意向者全体の認知率は51%となり、前年度の31%から大きく上昇。万博に行ってみたいと思う人は、訪日意向者全体の7割以上とを占めた。さらに、「万博を機とした訪日旅行」への期待も約4割にのぼった。 このほか、能登半島地震による訪日旅行への影響については、訪日意向者全体の半数以上が「影響はない」と回答。国・地域別で見ると、香港では65%、台湾では61%が「影響はない」と回答。リピーターの多いアジアの方が欧米豪よりも高い割合となった。 この調査は2012年度より継続的に実施しているもの。今年度は、インバウンド観光再開後の外国人旅行者の意向変化などを把握するため、2024年7月8日~7月18日に実施した。
トラベルボイス編集部