少子化で難関大志向強まる 年内入試と一般入試の二極化も 大学入試最新トレンド
令和7年度の大学入学共通テストは新教科「情報」が導入され、出題教科・科目も再編される。ただ、大手予備校によると、受験生の志望動向への影響は小さく、手堅い受験先を選ぶ「安全志向」は低い。むしろ、少子化による倍率低下で、難関大を目指す受験生が増えるとみられる。 【高校別ランキング】東大文Ⅰ合格者数 ■新教科に「情報」 共通テストは来年1月18、19日に実施。令和4年度から実施されている新学習指導要領に対応するため、プログラミングやデータ活用などが問われる「情報」が追加されるほか、「探究学習」が導入される形で地理歴史・公民が再編される。現行の6教科30科目から7教科21科目となる。 共通テストの教科・科目の再編は、平成21年に改定された学習指導要領に沿って数学や理科の出題範囲が拡大された27年度の大学入試センター試験以来。これまで受験内容が切り替わる際は、受験生の志望校選びも慎重になる傾向が強いとされてきた。 しかし、今回は数学や理科といった主要科目の変更ではないためか、「再編の初年度でも大きな変化は見られない。昨年と同様の傾向」と河合塾教育研究開発本部の近藤治主席研究員はいう。 ■背景に「倍率低下」 河合塾が10月に実施した模試を分析すると、東京大などの旧帝大や一橋大など難関10大学の志望者は前年比105%▽早稲田・慶応・上智・東京理科(早慶上理)は同109%▽明治・青山学院・立教・中央・法政(MARCH)は同106%▽関西・関西学院・同志社・立命館(関関同立)は同107%。難関大志望が伸びている。 河合塾の入試結果調査のデータなどで5年前と比較したところ、早慶上理では、偏差値が60~65未満の志望者の合格率が10ポイント上がるなど、全ての偏差値別で軒並み上昇。近藤主席研究員は「難関大とはいえ倍率が下がってきており、同じ学力でも5年前と比べて入りやすくなっている」と指摘する。 ただ、共通テストが例年より難しくなり、平均点が下がれば、「志望レベルを落とす受験生が続出するだろう」とも語る。共通テストの難易度次第では、最終的な志望動向は大きく変わる可能性はある。 また、理工系を志望する女子受験生の増加も顕著。河合塾の調査では、国公立大の「土木・環境」系の学部で前年比124%、「機械・航空」系の学部で同115%となるなど、デスクワークだけでなく、現場作業もあるような理系分野への女子の関心の高まりがみられるという。