厚生年金と国民年金から税金や保険料が「天引きされない人」っていますか?【10月15日は年金支給日】
10月15日の年金支給日まで、残りあとわずかです。これから冬に向けて、灯油代やガス代の支出が増えていきます。年金で光熱水費を上手にやりくりしたいものです。 ◆公的(老齢)年金から引かれるお金の種類を一覧で見る 年金からは、現役時代の給与と同じように税金や社会保険料が天引きされます。しかし、一部の人は天引きされないため、額面どおりの年金を受け取れます。 年金から税金や社会保険料が引かれない人は、どのような人なのでしょうか。この記事では、年金から引かれる税金・社会保険料をおさらいし、それらが天引きとならない要件について解説します。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
公的(老齢)年金から引かれるお金の種類
公的年金のうち、65歳から受け取れる老齢年金からは、税金や社会保険料が引かれます。引かれるお金は以下のとおりです。 ※国民健康保険料および後期高齢者医療保険料は、介護保険料との合計額が特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合は、天引きされず、普通徴収となります。 ・所得税 ・住民税 ・国民健康保険料・後期高齢者医療保険料 ・介護保険料 それぞれのお金について、どのようなものか今一度おさらいしておきましょう。 ●所得税 所得税は、給料や売上といった収入所得に対してかかる税金です。年金も所得の一つであり、所得税が課税されます。 所得税が年金から天引きされる要件は、以下のとおりです。 ・65歳未満:年間の年金受給額が108万超 ・65歳以上:年間の年金受給額が158万超 たとえば、月15万円の年金を受け取っている人であれば所得税は年金から差し引かれることになります。 もし年金以外の収入がある場合、年金を含めた総所得に対して税金が課されます。一方で、iDeCoやふるさと納税など控除を受けられる制度も多く、最も減らしやすい税金といえます。 ●住民税 住民税は、住んでいる自治体に対して納める税金です。所得税と異なり、自治体で上乗せや減税が自由に決められるため、住む場所によって納める額が異なる場合があります。 住民税が年金から天引きされる要件は、以下のとおりです。 <以下の条件をすべて満たす場合> ・65歳以上 ・老齢もしくは退職を理由に年金を受給 ・年間の年金受給額が18万円以上 65歳以上で老齢年金を月1万5000円以上受け取っていれば、天引きの対象となります。年金受給者の多くが年金から住民税が引かれると考えてよいでしょう。 ●国民健康保険料・後期高齢者医療保険料 国民健康保険料は、社会保険に加入していない人が入る健康保険の保険料です。65歳以降も会社員やパートとして働いていて社会保険に加入している人は、納める必要がありません。 国民健康保険料は自治体が定めているため、住む場所によって保険料が異なります。そのため、負担額や天引きされる金額も人によって異なります。 国民健康保険料が年金から天引きされる要件は、以下のとおりです。 <以下の条件をすべて満たす場合> ・後期高齢者医療制度の該当者を除く65歳以上75歳未満 ・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給 ・年間の年金受給額が18万円以上 65歳から75歳までで老齢年金を月1万5000円以上受け取っている場合は、国民健康保険料の天引き対象です。 また、75歳になると誰もが後期高齢者医療保険に加入し、保険料を支払います。こちらは都道府県単位で保険料を決めているため、同じ都道府県内で引越しした場合でも保険料は変わりません。 後期高齢者医療保険料が年金から天引きされる要件は、以下のとおりです。 <以下の条件をすべて満たす場合> ・75歳以上か後期高齢者医療制度の該当者 ・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給 ・年間の年金受給額が18万円以上 公的年金は「ある年齢を境に金額が激減する」といったことはありません。そのため、国民健康保険料が天引きされていた人は後期高齢者医療保険料も天引きされると考えておきましょう。 ●介護保険料 介護保険料は、介護サービスの運営等のために支払う保険料です。40歳からは介護保険の第2号被保険者、65歳からは第1号被保険者として保険料を納めます。 介護保険料が年金から天引きされる要件は、以下のとおりです。 <以下の条件をすべて満たす場合> ・65歳以上 ・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給 ・年間の年金受給額が18万円以上 国民健康保険料や後期高齢者医療保険料が天引きされていれば、基本的に介護保険料も併せて天引きされると考えてよいでしょう。 では、税金や社会保険料が天引きされないケースについて、次章で解説します。