専門家が指摘する「年金は頼りにならない」論の誤解
順序を間違えないことが大切
これ以外にも公的年金の持つメリットや優位性はたくさんありますが、代表的なものを挙げるとこれらの事柄になると言っていいでしょう。 もちろん、公的年金はこれからも何があっても絶対安心というわけではありません。自分がこれからもずっと健康でいられるかどうか、自分の勤めている会社がこれからも絶対に潰つぶれることがないかどうかがわからないのと同じです。 でも、時代とともに制度は変化してきていますし、決して悪くなっているわけではありません。年金支給額そのものも物価上昇に連動しているため、この何十年かの間に何倍にもなっています。 大事なことは老後のお金の大切さの順番を間違えないことです。一番土台となるのが公的年金。会社員で勤め先に退職金や企業年金の制度のある人は、それが2番目に大事な土台となります。その上に自分で蓄えて資産形成をする、という順番です。 公的年金が頼りにならないと思って、よくわからない金融商品にお金を預ける方が、よほど恐ろしい事態になる可能性が高いと思います。まずは自分自身の公的年金の金額を確かめるところから始めてください。
大江英樹(経済コラムニスト)