「コウタ グシケン」初のショーは予想外の演出 又吉直樹のコントとバンド演奏
最新コレクションのテーマは“orgnaseid well”で、具志堅デザイナーいわく、故意に誤ったスペルでつづり、「整理整頓(organised)したつもりだが自信がない」という意味を込めた。通常のシーズン発表後は、余暇を過ごしたり、展示会巡りをしたりしながら翌シーズンの準備をしてきた。しかし、昨シーズン終了後から、「東京ファッションアワード 2024」を受賞し、1月のパリ・メンズ・ファッション・ウイーク期間中に現地で展示会を初開催するまでの期間は、仕事やプライベートを含めて唯一できたことがアトリエの片付けだったという。パリでブランドの自己紹介をしようと、自身の学生時代のデザインを振り返った結果、今回の新作が生まれた。
全13型というコンパクトなコレクションには、具志堅デザイナーのやりたかったことを詰め込んでいる。例えば、学生時代の卒業コレクションで発表し、今では定番となったモナリザを編んだニットを、線描画のモナリザにアレンジしたほか、スコットランドのニットウエアファクトリー「ジャミーソンズ(JAMIESON’S)」とコラボした23-24年秋冬シーズンのセーターを、ベスト仕様に変えた。また、1940年代のスーツをベースにしたダブルジャケットや同柄のパンツ、ショルダーバッグ、ケープなどを全てニットで作った。
具志堅デザイナーが今シーズンの大きなチャレンジとしてあげたのは、リバーシブルのスカジャンだ。ほかのアイテムには日本製の糸を使用する中、スカジャンは光沢にこだわり、イタリア製のレーヨンとシルク混紡の糸を使った。
今回の演出については、「せっかくショーをするなら、ゲストに『楽しくていい時間だった』と思ってほしかった」とコメント。「今回のショーはあくまでアワード受賞の条件で開催しただけ。実はファッションショーよりも演劇やライブを観る方が好きなので」と述べ、今後は展示会のみでの発表に戻ることを明かした。1月のパリの展示会では海外の卸先も数件決まったといい、今後のブランドの知名度向上を目指すという。