ヤクルトが19歳“未来主砲”村上を守備優先で先発外しも失策止めれず泥沼10連敗。小川監督は数十秒で会見打ち切り…
結局、8回にイニングをまたがせたマクガフから風張への継投が絶好調の中日クリーンナップにつかまって大量失点。しかも二死満塁から走者一掃のタイムリー三塁打を右中間に打たれた高橋までを風張のワイルドピッチで簡単に返すという無駄な10点目まであった。 試合後、クラブハウスで記者に囲まれた小川監督は、「ホームランでしか得点できていない。うまくいかないことばかり。切り替えて明日頑張るしかないけど……いつも同じことばかり言っているか……もういいですかね」とだけ語ると苦笑いを浮かべて、わずか数十秒で会見を切り上げた。連敗中の敗因は、守備のミスと得点力不足。さすがに誠実な小川監督でも、“同じことの繰り返し”では、これ以上、語ることもないということなのだろう。 連敗脱出の“処方箋”はあるのか。この日は、守備固め優先で代打起用となった村上の起用法は、今後どうすべきなのか。 ヤクルトOBでもある評論家・池田親興さんは、こんな意見。 「村上のスタメン落ちは、彼の将来と連敗を脱出することの両方の板挟みにあっての難しい判断だったと思う。守りから崩れているので守備固めは狙いとして当然だろうし、村上がまた三塁でミスを重ねて完全に自信を喪失することも怖いだろう。だが、現状、点を取れていないことを考えるとチームの打点王をベンチに置いておくのももったいない。村上の守りを気にせずに使うなら一塁だろうが、故障明けの坂口も使いながら調子をあげさせたいという悩みもベンチにはある。守備か、打力か。小川監督が相当に頭を悩ませているのはわかる。ヤクルトの潜在的な打力を考えると、まずエラーでの失点を減らすことが勝利への近道にはなると思う。この日も、エラーがなければ、7回までを3-3の同点の展開を作れていたのだ。村上を外した戦術は間違いではなかった。まだ2年前に比べると深刻な内容の10連敗ではないと見ている。ひとつのきっかけで浮上できるだろうが、早く抜け出さないと取り返しのつかないことにもなる」 宮本ヘッドコーチ以下の首脳も“ミス撲滅”を連敗脱出のキーとしている。結果的に裏目に出たが、連敗の流れを食い止めるのは、そこが第一。そして打線の奮起も必須だろう。5月14日の広島戦以来続いている10連敗中、毎試合、スタメンを変えているが、この連敗中の1試合の平均得点は2.8点。逆に平均失点は6.3点。そのギャップを埋めるには、いらない失点を減らして打線の奮起を待つしかない。 故障で戦列を離れていたバレンティン、坂口が連敗中に戻ってきたが、メンバーが揃えばすぐにエンジン全開といかないのが、野球の難しさでもある。守備固めと打力キープの両睨みならば村上の一塁起用が選択肢になるが、そうなると他ポジションのシャッフルも必要になってくる。守備固めか、打力優先か。悩める小川監督は、どういうチーム戦略で、この泥沼を抜け出すのだろうか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)