団地再生の新モデルになるか 「ソーネおおぞね」の試み(下)
1970年代半ばに建てられ、全盛期には全480戸が埋まった名古屋市北区の「大曽根住宅」。愛知県住宅供給公社が手掛けた築40年以上の団地ですが、高度経済成長期に育った子どもたちが巣立ったあとは高齢化が進む一方で、一昨年までに約3分の1が空室という状況になってしまいました。 団地再生の新モデルになるか 「ソーネおおぞね」の試み(上) かつては多くの住民たちで賑わった1階のスーパーマーケットも撤退し、しばらく空いたままになっていましたが、この空きスペースに今年3月末、カフェやショップ、イベントスペースなどが集まった複合コミュニティー施設「ソーネおおぞね」がオープンしました。名古屋では「団地再生の新モデル」と注目を集めています。この中でも、中心的存在を果たす「ソーネカフェ」では、地元専門学校生の若い力を借りたメニュー開発が進められ、魅力的な新メニューが決まりました。
新メニュー決定イベントを開催
9月18日。ソーネカフェに関係者やメディアの人々、そして緊張した面持ちの愛知調理専門学校の生徒たちが集まり、「ソーネカフェ試食会及び新メニュー決定イベント」が開かれました。生徒たちが考えたレシピはサンドイッチ部門19品、単品部門24品、スイーツ部門21品の計64品。この中から各部門3品ずつメニューが選ばれ、一般のゲスト審査員を含めた試食、投票によって各部門1品に絞り込んでいきます。 サンドイッチ部門でエントリーされたのは「秋ののり弁サンド!」「まるごとおいしい! パンクラムチャウダー」「ソーネくんサンドイッチ」の3品。 「のり弁」をパンでも楽しめるようにと考案した竹内誠人さんは「高齢者の利用者が多いということで和食の要素を取り入れ、キンピラや魚フライ、ノリをバンズにはさみました。キンピラの野菜で旬も感じてもらえれば」と話しました。 宗石紗季さんは「わっぱの会」の自家製パンやこだわりの野菜を活用したいと、全粒粉入りの食パン1斤をくり抜き、中にクラムチャウダーを入れるメニューを考えました。「一人分より少し多め。料理だけでなく、親子やグループでシェアする楽しさも味わってほしい」と説明します。 幅広い年代の客層を念頭に置いた東里奈子さんのサンドイッチは、サーモンのマリネやほうれん草のソテーなど魚や野菜を選び、さっぱり感や栄養バランスを大切にした一品。「イングリッシュマフィンを使うので、その食感も楽しんでほしい」といいます。