「たき火にあたるサル」60年続く冬の風物詩 焼きイモ争奪戦も
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愛知県犬山市にあるサル類動物園「日本モンキーセンター」で“たき火にあたるサル”が見られる。年末年始を含めた冬の風物詩で、今シーズンが60周年の節目。2020年はサル年ではないが、ここでしか見られない珍しいサルの姿とあって、大勢の親子連れらが連日見物に訪れている。 【写真】日本モンキーセンターのサルはなぜ「たき火」を恐れない?
伊勢湾台風の流木で暖取ったのがきっかけ
きっかけは1959(昭和34)年にこの地方を襲った戦後最大級の災害「伊勢湾台風」。強風や高潮で大量に川に流れ込んだ流木などの処分を兼ねて、同園の職員がその一部で暖を取ったところ、一頭の子ザルが興味を示し、次第に群れ全体でたき火を囲むようになったという。サルは本来、火にあたる習慣はないが、この群れの中で代々受け継がれ、当たり前の光景に。センターは毎年、12月の冬至から翌年2月末までの恒例行事として来園者に公開するようになった。
今年のたき火の公開は、土日祝日の午前11時から午後2時過ぎまで。同園には約160頭のヤクシマザルがいて、飼育員が用意するたき火の周りに代わる代わるやって来ては、火をのぞき込んだり、毛づくろいしたりしていた。 彼らの一番のお目当ては「焼きイモ」。昼過ぎからイモがたき火にくべられ、午後2時に掘り返される「ほかほかおイモタイム」があるのだ。 一般客は高さ4~5メートルの崖の上からその光景を眺めるが、今回は特別に許可を得てサルを間近に見ることができた。イモが掘り返される前から、ボスの「タイマツ」を中心に陣取り合戦が始まる。そしてイモが放り出されるや否や、我先にとつかみ取り、熱々のイモを口にほおばる。中には、池の水でイモを冷やして早食いする賢いサルも。 飼育員の山田将也さんは「一緒に暖を取っているのは家族や兄弟が多い。大人のサルから子ザルまでの関係性にも注目をして」と見どころを紹介。石田崇斗さんも軽妙なトークで来園者を楽しませていた。正月は5日まで、午後1時に飼育員手づくりの「サルおせち」が動物たちに配られるイベントも開催。荒天時は中止。 (吉田尚弘/nameken)