【マーメイドS回顧】アリスヴェリテの勝因はリズム重視の逃げ キズナ産駒らしく持続力戦で強い
アリスヴェリテはキズナ産駒のヒントに
さて、勝ったアリスヴェリテは最近、絶好調のキズナ産駒。ノーザンファームではなく、キズナを生産したノースヒルズ生産馬。同生産馬のキズナ産駒は6/9まで71勝をあげており、重賞5勝。このうち4勝は母の父ナスルーラ。アリスヴェリテも母の父Cozzeneで同系統に属する。 ノーザンファームはキズナにスピード色の強い肌を交配し、成功したが、ノースヒルズは一足早くスピード系統にキズナをつけてきた。ナスルーラとの相性はよく、ボストンハーバー、サクラバクシンオー、エーピーインディといった一本調子のスピード型が多く、同系統以外でもフレンチデピュティ、キングヘイロー、Exceed And Excel、New Approach、アグネスデジタルなど持続力に長けた馬が並ぶ。 キズナ自身はディープインパクト産駒の大型馬で、父譲りの瞬発力より持続力のイメージが強い。スピード色の血と混ざることで、より持続力を伸ばしていける。アリスヴェリテの競馬はキズナ産駒のお手本になるのではないか。スローの瞬発力勝負では劣るので条件戦で苦労することも多いが、勝ちあがるごとにペースが合ってくる。スローになりやすい条件戦突破のヒントはアリスヴェリテにあるような気もする。今後も永島騎手の度胸はキズナ産駒で生かされるだろう。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳