RIZEが語る再始動の理由、ロック・バンドの「奇跡」を信じる男たち
「今のRIZEは、RIZERのために動くべきだと思ってる」
―世の関心からすると「何故今なのか?」という点もあるわけですけど、そこは執行猶予とか、そういうものとの兼ね合いもあったわけですよね? JESSE:うん。2年前には執行猶予が終わってた。もちろん最初、それがあるうちは……迷惑をかけたというより心配をかけたってことについて「やっちまったな」っていう気持ちが強かった。迷惑なんかは子供の頃からずっとかけてきたし、人間同士お互いかけてるものだし、そんな中で学んでいくわけじゃん? だから自分もそこでたくさん学んできたけど、心配をかけるっていうのは別の話だと思う。俺、ばあちゃんに「心配をけかるな。それは人の寿命を縮める」って言われてたし、ホントに誰かの寿命を縮めるようなことをしてしまったという辛さがあった。だからこそ、可能な限り最短距離のところでRIZEをやりたかった。2017年の末に武道館をやった時は、The BONEZがRIZEの動きに区切りがつくのを待ってくれてた。それが終わってからはずっとThe BONEZに集中してきて、今度はThe BONEZが10周年の節目を迎えた。そこで、RIZEを始めるのは今なのかなって。 The BONEZは、言ってみれば人の死から始まったバンド。99.9%のマイナスが生んだ0.1%の奇跡がThe BONEZだと思ってる。だからRIZEとはまったくスタートが違う。そこで俺はどっちにも120%の力を注ぎたいけど、正直、なかなか難しいところもある。ただ、生きてるなら絶対やったほうがいいものだと思ってるから、RIZEは。新しい曲を作ることとかは現時点ではまったく考えてないけど、今までの曲たちをとにかくRIZERたちに聴かせたい。その機会をいっぱい持ちたいしね。だから「みんなが聴きたかったものを聴かすよ」っていう気持ちが根源にある。少なくともRIZERは今新曲よりもそっちを聴きたいはずなんじゃないかな。俺だって自分の好きだったバンドにはそれを求めると思うしね。 ―ただ、複数のバンドでの活動を並行させていくことには、なかなか容易ではない部分もあるわけですよね? JESSE:うん。ただやりたいだけじゃ駄目なんだっていうのは常にある。たとえばあっくんが全体のバランスを見ててくれたこともあれば、事務所がその役割を担ってくれてたこともあると思う。だけど次は俺がそれを担う番なのかな、とも思ってるし。だけどね、CLUB ASIAの時はすごかったよ。約6年ぶりに雷を落とせたことは、RIZEの俺としてめっちゃ自信になった。RIZERの前だからこそそれができた気もするしね。いちばん身近な審査員みたいな存在でもあるんだと思う。あの時も、事前のリハは3回ぐらいしかやらなかったんじゃないかな。あっくんもKenKenも、その時点で「もうバッチリじゃん。これ以上リハの必要はないよ」って感じだったけど、むしろ俺の側が「いや、もう一回だけ」っていう感じだった(笑)。久しくやってなかったというのもあるし、「俺、弾きながらこれを歌うのか?」って感じの曲もあったし(笑)。ただ弾いて歌えればいいってわけでもないしね。歌詞とかももう一度しっかり叩き込んでおかないといけないし、あっくんとKenKenとの間にちゃんとグルーヴがないといけない。 ―そういえば先日、KenKenは「RIZEをやる時のJESSEはアメスク時代に戻ってる」みたいなことを言ってましたが。 JESSE:それはあるかもしれない(笑)。やっぱ幼馴染と一緒にいるわけで、それは要するに俺の成長過程を少年期からずっと見られてる連中ってことじゃん? だから裸になっちゃってる。ただ、それゆえの楽しさも当然あるんだけど、孤独感みたいなものもあるんだよね。ふたつのバンドの間に立ってるのは自分だけだしさ。 ―そこについてはまたいつか機会を改めて聞かせてください。ところで今回の再始動は、綿密に計画立てられたものではなく、このツアーの先の活動プランもほぼ白紙なんですよね? JESSE:プランはまったくないね。ただ、ライブは増やしたい。自分自身が大変なことになるのは承知のうえだけど、一回やってみればどこまでやれるかっていう範囲が見えてくるはずだし。まあ、いざ始まってしまうと、俺も俺であれこれやりたがっちゃうんだけど(笑)。というのも、そうすることでスキルがどんどん上がっていって、結果的にできちゃうからで。だけど、そんな調子でずっと続けていくと、身体ってどこかで壊れるものなんですよね。ただ、去年、レッド・ホット・チリ・ペッパーズとかリンプ・ビズキットのライブを観てすげえヤラレたし、あの人たちがあの年齢であそこまでやってるなら俺はもっとできるはずだと思ったんですよ。俺も今では40代だけど、40代というのは俺にとって2回目の20代みたいなもので。だからまだまだやれるし、RIZEがやれるってこと自体、めちゃくちゃ楽しみだしワクワクさせられる。これをずっとやりたかった。だけど雷だからどこに落ちるかわかんないし、どれくらい大きなものになるかもわからないんだけど(笑)。そこで誰にも迷惑かけずにやれればいいな、というのはあるけどね。 ―プランが皆無だというのは、このバンドが始まった頃に似てますよね。血筋などを理由に、将来的な約束があるもとで始まっているバンドだと誤解されがちな傾向もありましたが、実際には何も決まっていないところから始まっていた。そういう意味では、ちょっと原点回帰っぽくもあるように思えます。 JESSE:そうですね。当時も今も、いちばんピュアな状態で始めたかったし、そうやって一個一個クリアしながら続けていくよ。 RIZE Tour 2024 “SOLU” チケット一般発売 5/12(日)10:00開始 6月5日(水)神奈川・KT Zepp Yokohama 6月11日(火)北海道・札幌PENNY LANE24 6月13日(木)宮城・Rensa 6月20日(木)大阪・Zepp Osaka Bayside 6月22日(土)愛知・Zepp Nagoya 6月28日(金)福岡・DRUM LOGOS 7月5日(金)東京・Zepp Haneda
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