アギーレ解任で、どうなる次期監督?
大仁会長の言う「ふさわしい」には、経験や実績も含まれていると見ていい。そうした条件を加味した上で浮上してくるのが、昨夏のワールドカップ・ブラジル大会でブラジル代表を率いたルイス・フェリペ・スコラーリ氏だ。 母国開催のワールドカップは、エース、ネイマールの負傷離脱などの不運もあって4位に終わり、代表監督を辞してフリーとなったが、それでスコラーリ氏の輝かしい実績が否定されるわけではない。2002年のワールドカップ日韓共催大会でブラジルを優勝に導き、ポルトガル代表監督としてもユーロ2004で準優勝、2006年のワールドカップ・ドイツ大会では4位に導いている。 ブラジル、ポルトガルの両代表で大胆な世代交代を図り、成功させている点もいま現在の日本代表に求められるミッションとなる。わずか4カ月間ながら1997年にはジュビロ磐田の監督を務め、その後に訪れる黄金時代の礎を築いたことでも知られる。 大仁会長はアギーレ前監督の八百長疑惑騒動に揺れ動かされた約1カ月半の間に、技術委員会にリスクマネジメントを徹底させていたことも明かした。 「後任についてはこの(八百長の)情報が出て、いろいろな対応を考えているなかで、技術委員会には『万が一に備えてそういう情報は集めておくように』ということは伝えていた」 日本協会トップの指示を受けて水面下で情報収集に動いていたとすれば、本格的な交渉はスムーズに進むのではないか。いずれにしても、残された時間は決して多くはない。 今後はアギーレ前監督の任命責任も問われてくるはずだが、何よりも大切なのは日本代表チームの歩みにブランクを生じさせないこと。日本サッカー協会の底力が試されようとしている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)