「家賃手頃な仏教の街」「イメージと違って治安もいい!」…。23区では珍しい無人駅がある街「足立区・大師前」は“住むとちょっといい街”だ
建築会社や不動産会社などが毎年発表する「住みたい街ランキング」。トップテンの顔ぶれを眺めると、常連の吉祥寺や恵比寿、新宿、目黒、最近だと北千住や大宮なんかも人気だ。しかし、どれも「まぁそうだろうな」と思えるような街ばかり。 この連載では、住みたい街ランキングにはなかなか登場しないけれど、住み心地は抜群と思われる街をターゲットに定め、そこを実際に歩き、住む人の声と、各種データを集めてリポート。そして、定番の「住みたい街」にはない、「住むと、ちょっといい街」の魅力を掘り起こしていく。 【画像13枚】「家賃手頃な仏教の街」「イメージと違って治安もいい!」…。足立区・大師前はこんな感じ
今回訪れたのは、23区内では珍しい無人駅「大師前」エリアだ。 ■「たいしまえ」ではなく「だいしまえ」 西新井大師(東京都足立区西新井1丁目15-1)は、真言宗豊山派の寺院だ。天長時代(824~834年)に、弘法大師が立ち寄り、悪疫の流行に悩む村人たちを救うため、十一面観音像と自身の像を彫った。 これを枯れ井戸に安置して21日間の護摩祈願を行うと、枯れ井戸から清らかな水が湧き出し、村人たちを悩ませた悪疫は、たちどころに平癒した。その井戸がお堂の西側にあったことから「西新井」の地名ができたと、伝えられている。
西新井大師の最寄り駅は東武大師線の「大師前(足立区西新井1-3-1)」だ。 【画像13枚】「家賃手頃な仏教の街」「イメージと違って治安もいい!」…。足立区・大師前はこんな感じ ここは、東京都内23区では珍しい“無人駅”である。 大正時代に、東武伊勢崎線と東武東上線を結ぶ駅として開設されたが、折り悪く第2次世界大戦による東京への大空襲が激化したために営業は休止となった。戦後になって、大師信仰が高まり、再び営業を開始したのだそう。
どうでもいいことだが、筆者は西新井大師を“にしあらいたいし”だと思い込んで生きてきた。今回この界隈を歩き回ることで再確認したのだが、読み方は“にしあらいだいし”が正しい。 ということで、駅名も“だいしまえ”である。 前述のように、大師前は無人駅だ。ホームに入るために切符もいらなければ、交通系ICをピッとやる必要もない。 それなのに無賃乗車はできない。なぜなら、東武大師線は大師前駅と西新井駅を結ぶ約1kmの単線で、途中駅がないからだ。