OCTPATH 四谷真佑（撮影＝梁瀬玉実）

　群雄割拠、さまざまな個性豊かなメンバーが揃っている昨今のボーイズグループシーン。アイドルとして活躍しているメンバーの中には幼少から芸能活動をしていた人だけではなく、一般企業で働いていた人も珍しくない。そんな中、OCTPATHの四谷真佑は“元プロゲーマー”という珍しい経歴の持ち主だ。現在はその経歴を活かし、ゲーム大会への出場や個人でのYouTubeチャンネルを開設とグループの名前をどんどん広げるべく活動をしている。“プロゲーマー”、“アイドル”という多くの人にとって憧れの二つの職業に就くことができた四谷に、夢を掴み取る原動力を聞いた。（編集部） 【画像】デビュー前はプロゲーマーとして活躍していた四谷真佑 ■自分から声をかけて『スプラトゥーン』のプロゲーマーに ーーそもそも、ゲームにハマったきっかけは何だったのでしょうか。 四谷真佑（以下、四谷）：高校一年生の時に誘われて始めた『スプラトゥーン』が初めてハマったゲームです。それまでは趣味程度に色々なゲームをやっていましたが、一つのタイトルに熱中したのは『スプラトゥーン』が初めてでした。最初は友達と一緒にプレイするのが楽しくてやっていましたが、チーム戦なので、友達が揃わないとマッチした見知らぬプレイヤーと一緒に対戦することになります。せっかくならSNSで募集をかけてそこで声をかけてもらった人と一緒にやった方が楽しいだろうなと思ってスプラトゥーン仲間を持つようになりました。そこのメンバーと一緒に戦っていくうちにもっと上を目指したいという熱が出てきて、最終的にはプロを目指すような形になりました。 ーーその『スプラトゥーン』でプロゲーマーとして活躍することになるんですね。 四谷：そうです。僕がプロになった時は高校2年生です。当時はプロゲーマーといえばFPSゲームが主流で、『スプラトゥーン』でプロとして活動している人は2、3チームほどしかいませんでした。プロチームの募集があったらそこに応募しようと待っていたのですが、なかなかその募集がかからない。そこで、自分で企業に連絡を取って、自分のこれまでの活動を紹介したりしていったら3社からスポンサーになっていただけると連絡をいただき、プロゲーマーとして活動することになりました。 ーー高校2年生ですごい行動力です。『スプラトゥーン』でプロになりたいと思ったのはどうしてですか？ 四谷：「プロ」ってかっこいいなぁと思ったんですよね（笑）。毎日ランキングの上位を目指してプレイしていると、どんどんもっと上を目指していきたくなる。そうしていく中で徐々にプロとして活躍をしていくスプラプレイヤーが出てきているのを見て、僕もなりたいなと思いました。 ーーとはいえ、プロゲーマーは厳しい競争社会になります。プレッシャーは感じていましたか？ 四谷：それは感じていました。『スプラトゥーン』はシーズンが決まっているので、そのシーズンのなかで結果を出さないといけなくて。だからシーズンが終わるギリギリは結構命削ってやっていました。学校から帰って早めに寝て、夜中に起きて、『スプラトゥーン』をやって、ちょっと寝て学校に行くみたいな。結構ストイックな生活をしていたと思います。プレイする前も、起きてすぐだと調子が出ないからウォーミングアップの時間をしっかり取ったり。普通の高校生からすると「ゲームになんでそこまで」と思われていたと思います。 ーーでもそこまで熱中できるものと高校生の頃に出会っていたんですね。 四谷：『スプラトゥーン』はチームなのでみんなで一緒に上を目指していたというのも大きいと思います。今でもグループで活動していますけど、仲間と一緒に上を目指すから僕ももっと頑張らないといけないなと思うんだと思います。 ■「自分に順位がつけられることに耐性があった」 ーーその後21歳の時に『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』に参加します。 四谷：高校を卒業するタイミングで進路を考えた時に、もともと歌が好きだし演技にも興味があったので芸能の道に進もうと思いました。そうして進学した専門学校で『PRODUCE 101 JAPAN』の存在を知って、専門学校最後の年に『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』が開催されたので挑戦しました。 ーープロゲーマーとしての活動を経て『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』の練習生生活を今振り返るとどのようなものでしたか？ 四谷：ストイックに努力を重ねるという意味ではゲームと近いものがあるし、短い期間で人生が決まるという緊張感もありましたが、そもそも『PRODUCE 101 JAPAN』が好きで観ていたので、オーディション中に起きること全てが楽しくて。ずっと憧れていた場所だったので、肉体的に疲れることはあっても、精神的に辛いなと思ったことはあまりなかったです。プロゲーマー時代も自分の好きなことだから『スプラトゥーン』をここまで楽しめたんだと思います。『スプラトゥーン』のランキングが上がると周りのみんなが「すごいね」と褒めてくれて、それが嬉しくてもっと練習を頑張れていたんですけど、アイドル練習生もたくさん練習したらトレーナーや視聴者さんが「良くなったね」と言ってくれる。だからもっと頑張ろうととにかく夢中で前に進んでいました。 ーー『PRODUCE 101』シリーズは番組視聴者の投票によってデビューメンバーが決まります。放送では定期的に暫定での順位が発表されていました。あれも『スプラトゥーン』でいうところのランキングになりますよね。 四谷：自分に順位がつけられることにある意味で耐性があったのかもしれません。『スプラトゥーン』でもうまくいく時もあればうまく行かない時もたくさんありました。でも僕は今うまく行かなくても、たくさん練習すればまた違う結果が見えてくるというのは『スプラトゥーン』を通じて何度も学んできているんですよね。だから番組放送中に自分の順位が下がってしまっても、あまり悲観的になりすぎずにもっともっと練習をすればいいと、あの時の経験を励みにして頑張っていました。 ーーその後、四谷さんはOCTPATHのメンバーとしてデビューを果たします。アイドルとして活動していく上でプロゲーマー時代の経験が活きることもありそうです。 四谷：今はSNSの時代なので、フォロワー数とか、色々な数字ではっきりと出る部分もあるので、結果がはっきり見えるという意味ではあまり変わっていないように感じます。プロゲーマー時代は結果が全てで、「頑張っていたけど良い結果が出ませんでした」って言っても通用しなくて、どれだけ頑張ってもランキングに現れなかったら納得してもらえないと思っていました。これって今のアイドル活動にも通用すると思っていて、僕らのステージもどれだけ練習したとしてもファンのみなさんが見るのはその1回だけかもしれない。だからしっかり練習して、その結果を出せるようにしないといけないなというマインドはプロゲーマー時代に学んだことだと思います。同時に、自分の思うように行かなくても反省して次頑張ろうと切り替えられるという気持ちもそこで学んでいて、その両方が今の活動に活きていると思います。