ホンダと日産の経営統合、23日にも覚書…台湾企業からの買収防衛策の側面も
ホンダと日産自動車が、経営統合する方向で協議していることが18日、わかった。23日にも覚書を結び、発表する見通しだ。両社が傘下に入る持ち株会社の設立を検討し、日産が筆頭株主となっている三菱自動車の合流も視野に入れる。実現すれば、世界販売台数で3位の自動車グループとなり、国内勢はトヨタ自動車を中心とするグループと二分されることになる。
ホンダの青山真二副社長は18日朝、東京都内で記者団に対し「決まったものはないが、いろいろと検討しているのは事実だ」と述べた。ホンダと日産、三菱自は18日、「各社の強みを持ち合い、将来的な協業について様々な検討を行っている」とのコメントをそれぞれ出した。
ホンダと日産は今後、持ち株会社の設立時期や出資比率、首脳人事などを詰める。電気自動車(EV)などの開発競争が激化する中、統合で経営効率を高め、台頭する米中新興メーカーなどに対抗する。
2023年の世界販売台数は、ホンダが398万台、日産が337万台、三菱自が78万台で、合計すると813万台に上る。トヨタグループ(1123万台)、独フォルクスワーゲン(VW)グループ(923万台)に次ぐ規模となる。
自動車大手はそれぞれ、EVの基幹部品である車載電池や自動車部品のメーカーを抱えている。今後、部品メーカー間でも再編が加速する可能性がある。
ホンダと日産は今年3月、EV開発などで協業を検討すると公表した。8月にはEVの主要部品や車両に搭載するコンピューターを制御する基本ソフト(OS)の共通化といった具体的な内容を示し、三菱自も枠組みへの参画を表明した。
経営統合に向けた協議に踏み込む背景には、EV大手の米テスラや中国BYDなど新興勢の台頭がある。両社は、ソフトウェアを更新して性能を高める次世代車「SDV」の開発で日本勢に先行している。ホンダと日産が統合すれば、次世代車の開発に必要な巨額投資を分担することができる。
協議を促したもう一つの要素は、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の存在だ。急速な業績悪化で9000人の人員削減などを発表した日産に対し、鴻海が買収を仕掛けるとの観測が出ていた。統合協議には、買収防衛策の側面もあるとみられる。