新生Vポイント、旗艦店リニューアル…新プロジェクトを次々に仕掛けるカルチュア・コンビニエンス・クラブの狙い
■ 自己否定からスタートした新生「SHIBUYA TSUTAYA」 ――4月25日にはSHIBUYA TSUTAYAがリニューアルオープンしました。 髙橋 SHIBUYA TSUTAYAが渋谷スクランブル交差点に面してオープンしたのは1999年です。当時は、まだレンタルビジネスの隆盛期で、映像や音楽コンテンツをお客さまにお届けするための象徴的な場所として誕生しました。エンターテインメントの情報発信地という位置付けで、日本一の品揃えを誇るという点を大きな特徴として打ち出してきました。 でも、20年もたてば時流が変わるのは当然のことです。音楽、映像、ゲームなど全てのエンターテインメントコンテンツの楽しみ方が進化する中にあって、「リアルな空間の意義をどこに見いだすか」がわれわれにとっての挑戦だったのです。 まずは、製品をたくさん並べて売ったり、貸したりする場所ではないという点、いわば自己否定からスタートしました。体験の中でお客さま自身が感動したり、「好き」「嬉しい」「楽しい」という思いの中で体験を分かち合っていただくのが前提で、その中で物を買ったりシェアしたりする空間に全面的に振り切ろうと決めました。 ――生まれ変わったSHIBUYA TSUTAYAは若者と訪日外国人をメインターゲットにしています。オープン後は狙い通りの客層にヒットしていますか。 髙橋 まさにストライクという感じで、それらの層にたくさんお越しいただいています。平日の朝7時台から外国人の方がコーヒーを飲んだり、朝食を取ったりされていますね。 海外向けに特にPRを強化しているわけではないのですが、スクランブル交差点自体が訪日外国人の方にとっては必ず行きたいスポットとして認知されているので、SHIBUYA TSUTAYAへの認識も自然と広がっている印象です。 SHIBUYA TSUTAYAの中からスクランブル交差点の写真を撮る人も多いですし、最近では交差点を撮影している外国人の方を、スクランブル交差点から撮影する方もいるようです(笑)。今までは2階だけからしか交差点が見えなかったのですが、リニューアル後は3階と4階の一部からも見えるようにしています。 ――長らくブームとなっているポケモンのトレーディングカードで遊べるフロアやシェアラウンジなど、空間づくりにとてもこだわっている印象です。 髙橋 トレカで遊べる場所は全国にあるのですが、比較的お子様向けが多くなっています。ただ最近では、以前トレカで遊んでいた若者層が大人になり、女性の愛好者も増えているため、そうした方々がプレイできる新たな場を作ろうというコンセプトがありました。もちろん、お子様が来ていただいても大丈夫です。 ――体験空間づくりのコンセプトは、これから他の店舗にも生かしていくのでしょうか。 髙橋 渋谷に合ったスタイルとコンテンツを考えた結果今の形になったため、SHIBUYA TSUTAYAの中身をそのまま地方に持っていくことはしません。 ただ、文化体験価値をTSUTAYAという店舗パッケージを通じてどう伝えていけるか、をテーマにしていますので、各地方に合ったコンテンツを提供して、そこで独自のコミュニティーが生まれたり、体験価値をシェアしたりできるよう、順次アップデートを図っていきたいと思います。 ――地方においては現在の店舗をリニューアルする形がメインになるのでしょうか。 髙橋 現在、TSUTAYA全国に800店舗ほどありますが、今後は単に不採算店舗を閉めるのではなく、既存の店舗を改装するケースもあれば、新たに体験型書店などに生まれ変わらせることもやっていきたいです。