【解説】今後の政権運営どうなる…石破政権がぶつかる「3つの壁」
■「自民党の壁」“石破おろし”
──2つめの壁は「自民党の壁」。先ほど石破さんが首相に選出されたばかりですが、今後“石破おろし”の動きはあるのでしょうか。 先週開かれた自民党の選挙の反省会で石破首相に辞任を求める声が複数出ました。ただ、「石破おろし」の動きは広がっていません。 なぜか?カギを握る数字があります。1つめが「34%」。これは選挙直後に行った緊急世論調査での石破政権の支持率です。9月の政権発足直後から17ポイント急落し、政権への失望感が広がったと言えると思います。 カギを握る数字がもう一つあります。「56%」。これは、石破首相が辞めるべきかどうか聞かれ「辞任するべきと思わない」と答えた人の数字です。「半数以上が辞める必要なし」と。「支持しないけど今、辞める必要はない」、これが、世論の温度感という見方が自民党内でも多いんです。 この「奇妙なバランス」の背景にはいくつかの理由があります。ある自民党ベテラン議員は「次に今、総理になろうという議員がいない」とか、自民党議員からは遅くとも「3月の予算成立まで、もしくは夏の参院選の前まで石破総理でいくべき」という声が多いです。今は「石破おろし」の動きがありませんが、党内の不満のマグマがいつ噴出してもおかしくない状況とも言えます。
■「野党の壁」いつ?内閣不信任案
──そして3つめの壁が「野党の壁」。今後、内閣不信任案という動きが出てくる可能性もあるのでしょうか。 多くの国会議員が「国会の景色が一変した」と言っています。予算委員会の委員長など複数の委員会を仕切るポストが野党の手に渡りました。法案審議で与党が苦しむ場面がこれまでより多くなるのは必至です。 中でも少数与党になって一番影響があるのは、「内閣不信任決議案」をめぐる環境です。一言で言うとこれまでは「出しても与党に否決される内閣不信任決議案」が「出せば通る」可能性がある状況に一変したわけです。ある野党幹部は「これまでの国会では『伝家の宝刀』=最強のカードは首相の『解散権』だったが、この国会では野党の『内閣不信任決議案』だ」と話しています。 不信任案が可決され石破首相が内閣総辞職か、解散総選挙を迫られるリスクが高い国会になりそう、というわけです。 石破首相は周辺に「支持率が低くても政権運営を続けろという声に応えるには結果を出すしかない」と話しています。厳しい環境でどう結果を出していくかの戦略が問われています。