羽生、宇野は平昌プレ五輪の本番リンクで何を知るべきか?
来年の平昌五輪で使用される本番会場で行われるフィギュアスケートの四大陸選手権が16日に韓国の江陵アイスアリーナで開幕する。日本からは男子シングルスに羽生結弦(22、ANA)、宇野昌磨(19、中京大)、田中刑事(22、倉敷芸術科学大)の3人が出場、女子は、宮原知子の欠場に伴い、三原舞依(17、神戸ポートアイランドク)、樋口新葉(16、日本橋女学館高)、本郷理華(20、邦和スポーツランド)の3人が出場する。 事実上の“プレ五輪”となる本番リンクで確認すべきポイントはどこにあるのか。何を知るべきなのか? 羽生自身は「氷の状態と、会場の温度、音の拡がりなどを見てきたい」と語っていた。 元全日本2位で、現在は後身の育成を行っている中庭健介氏も、羽生が挙げた「氷の質」「会場の温度」「会場の音響」の3つチェックポイントが重要だと言う。 「最も知りたいのは氷の質ですね。いわゆる“硬い”か“柔らかい”かの状態です。通年氷が張った常設のリンクなのか、それとも大会のときだけに張るのか、によっても氷の質は変わってきます。もちろん会場の室温によっても氷の質は変わるので、今回の氷の質が来年の五輪本番のときと同じになるのかどうかはわかりませんが、参考にはなるでしょう」 氷が「硬い」か「柔らかい」かは、演技の特にジャンプに影響を与えるという。 「硬い場合は弾むので、ジャンプが浮きます。特にトゥー(つま先)ジャンプがスムーズになるメリットがありますが、エッジジャンプは難しく、抜けやすくなるというデメリットもあります。エッジ判定が不明瞭になりがちな選手にとっては、苦手意識が生まれるかもしれません。逆に柔らかい場合は、トゥージャンプで浮きにくくはなりますが、エッジジャンプも深く溝が作ることができるので全体的にジャンプは安定します」 男子は、高度な4回転時代に突入しているだけに「硬い」「柔らかい」のチェックをした上で、1年間をかけて、氷質に応じた対策を練る必要があるだろう。 会場内の「音の反響」も重要な要件。 「選手は、曲の音を聞いて滑りますから、選んだ曲とのマッチングをより完璧なものにするためには、どれくらいの音の反響があるかを知っておくことは重要です。音の跳ね返りの遅れは、ゼロコンマ何秒の世界ですが、羽生選手などはそこまでを聞き取り、計算した上で滑りますから、音の反響チェックをしっかりとしたいと考えるのは納得できます」