映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』FIFA初のトランスジェンダー女性選手を演じて
──ジャイヤさんはご自身の物語がドキュメンタリーで、そして今やフィクション映画で描かれているのを目にして、どんな気持ちですか? ジャイヤ この物語はこれからもどんどん進んでいくように思います。常に新しい機会をもたらしてくれますし、感謝しています。私はトランスジェンダー女性である前に、ファファフィネであると考えているんです。文化的なアイデンティティからだけでなく、自分のコミュニティで尊重されているアイデンティティでもあるから。一部の人たちは、ファファフィネが男性のスポーツでプレーすることを問題視しています。だからこそ、「私はみなさんと違うかもしれませんが、自分のコミュニティでは普通の人間なんです」とはっきり伝えるようにしていて。そんな居場所があってこそ、スポーツ界でベストを尽くすことができています。カイマナにも本当に感謝しています。私の物語を繊細に、そしてできる限り本来の形で語ってくれました。 ──カイマナさんはジャイヤさんとの仕事を改めて振り返り、どんなことを思いますか? カイマナ ドキュメンタリーを通じてジャイヤの姿を知るのみならず、実際にこうして彼女とつながることができて、とても光栄です。私たちが描いたキャラクターは本物のジャイヤではなく、私たち二人とタイカのバージョンのハイブリッド。とはいえ、彼女と会うことはすべてにおいて意味がありました。役に安心して挑むために必要な最後の要素を与えてくれましたから。この映画の一員となったことで、自分の土着性に寄り添うことを教わりましたし、自分自身を探求するようになりました。ポリネシア文化と西洋文化という二つの世界に足を踏み入れていると、どちらにも異なる言語やイデオロギーが存在するので、混乱することもあります。でも映画出演をきっかけに、自分の行いが正しいことであり、世界にポジティブな変化をもたらしているのだと、自信を持てるようになりました。 ジャイヤ メディアはいつだって、次に大きなプロジェクトを担う新しいトランスジェンダー女性を探していますよね。必要な時には、私にファファフィネの妹がいることを知っておいてほしいです。正直なところ、彼女はいつでも準備ができています!(笑) ●『ネクスト・ゴール・ウィンズ』 2001年のワールドカップ予選で、オーストラリア代表に0-31の大敗を喫して以来、まだ1ゴールも決められていない米領サモアチーム。次の予選が迫る中、優秀だが破天荒な性格でアメリカを追われた鬼コーチ、トーマス・ロンゲンが就任。どうにかチームの立て直しを図るが、果たして奇跡の1勝は挙げられるのか!? 監督・脚本_タイカ・ワイティティ 出演_マイケル・ファスベンダー、オスカー・ナイトリー、エリザベス・モス 配給_ウォルト・ディズニー・ジャパン 2024年2月23日(金・祝)全国ロードショー ©︎2023 20th Century Studios. All Rights Reserved. ●カイマナ おもにハワイのオアフ島で育つ。今回の『ネクスト・ゴール・ウィンズ』で俳優デビューするまでは、世界中をヒッチハイクするなどで旅して回っていた。本作で演じた役同様、自身もファファフィネ(サモア文化における第三の性)である。 ●ジャイヤ・サエルア 1988年、アメリカ領サモア生まれ。ファファフィネとして世界初のサッカー代表選手。自国の代表男子チームに選ばれ、2006年からワールドカップ予選などに出場。2014年に公開された同チームのドキュメンタリー映画『ネクスト・ゴール! 世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦』に出演している。 Edit_Milli Kawaguchi
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