評価ガタ落ちで井上尚弥への挑戦権を失った“問題児”カシメロは10.13横浜で“第3の刺客”として再浮上することができるのか?
だが、一方でカシメロには懸念材料が残る。SNSではたっぷり体に脂肪がつき、太鼓腹になった醜い映像が出回った。ファンの間では「スーパーバンタム級に落とせるの?」の声が飛び交った。2022年には、サウナの水抜きが禁止されている英国でそのルールを破ったため、のちに井上に倒されたポール・バトラー(英国)との防衛戦前に失格となり、WBO世界バンタム級王座を剥奪されてスーパーバンタム級に転級した事情があるなど、元々体重調整に問題があった。 伊藤氏は、カシメロに会いにフィリピンの彼が経営するジムを訪れているが、その際、すでに太鼓腹の状態ではなかったという。 「おそらくあの頃は68キロくらいあったのでは。僕がフィリピンに会いにいったときは61キロまで絞れていました。減量は大丈夫だと思いますが、万全を期して9月中旬には来日させて日本で調整させます。才能とポテンシャルは凄いものを持っているんですが練習にムラがある。日本で練習も含めチェックしていく考えです」 ノンタイトル戦なのだから体重超過の危険性があるスーパーバンタム級のリミット122パウンド(55.34キロ)にこだわる必要もないと思うが、バンタム級が主戦のサンチェスが55.34キロ契約を希望したのと、伊藤氏自身が「井上戦の実現のためにはここで何かしらのマイナス要素を作りたくなかった」という。 「おそらくこれがラストチャンスです。ここで小國戦のような内容なら、もう井上選手との試合はないし、カシメロの評価はさらに落ちてしまうでしょう。本人もわかっていると思います」 伊藤氏とカシメロが狙うのは“第3の刺客”のポジションだ。 9月3日に元IBF世界同級王者のTJ・ドヘニー(アイルランド)との防衛戦を控える井上は、ドヘニーを撃破すれば、12月に国内でもう1試合行う予定で大橋秀行会長は、有力候補としてWBO&IBF1位のサム・グッドマン(豪州)の名前をあげている。そこをクリアすると次に控えるのが、元WBAスーパー&IBF王者で、WBAの指名挑戦権を持つムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)。カシメロが狙うは、その次の“第3の刺客”の座だろう。 井上は来年いっぱいはスーパーバンタム級で戦うことを明言しており、ドヘニー戦後に最大で4試合を消化することが可能。その中でドヘニー戦に合わせて来日している井上陣営の共同プロモーターであるトップランク社のボブ・アラムCEOは、「このままうまくいけば、来年に井上と中谷が対戦して日本で歴史的な大きな試合になるだろう」とも明かした。井上のスーパーバンタム級の“卒業試合”に“ネクストモンスター”中谷が指名される可能性もあるが、まだ1試合分の“空席”はある。 カシメロが総合レベルの高いサンチェスを相手に復活をアピールできれば、再び対戦候補として急浮上してくる可能性は十分にある。過激なトラッシュトークも“売り”の“問題児”カシメロは、10.13横浜武道館で、ボクサー人生をかけたリングに上がることになる。 (文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)
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