火事からの復活を遂げた老舗宿が50年後も価値のある宿をめざす〈後篇〉雲上の絶景テラスで味わう至福の時間
雲海をイメージしたスイーツを楽しみ、雲海サンセットを眺める
昨シーズンの雲海発生率は62.5%。5日のうち3日以上雲海に遭遇できるという計算だが、特に狙い目なのが6~9月だ。なかでも6、7月は雲海発生率が劇的に上がる。 夕日と雲海が一緒に見られる「雲海サンセット」の時間帯がいい。雲海の先に沈む夕日が黄金色に輝き、刻一刻と移り変わる幻想的な景色が眺められる。 また、2024年は7月13・14日、8月10~12日、9月14・15日に、山頂のライトをできる限り消灯し、星空観賞をする「星空ナイトクルーズ」も開催、夕方から日没にかけてロープウェイを増便する。期間中は星空のもと、「星空ナイトシネマ」の映画を無料で見ることができる(8月10・12日は除く)。 360度遮るものがない、美しい星空は唯一無二。ロマンチックな夜を過ごせるとあって、例年カップルに特に人気だ。 SORA terraceの日中の見どころは、9つのテーマごとにかわいらしい山野草やハーブ、季節の花々が咲き誇る「雲海ハーブガーデン」だろう。 春先から植えられたさまざまな植物たちは、初夏に美しい花を咲かせる。6月下旬から7月中旬に見頃を迎えるのが、「ヒマラヤンガーデン」に咲くブルーポピー。本来はヒマラヤに生息している花だが、竜王マウンテンパークにも根づき、毎年来訪者の目を楽しませてくれる。 そのほか「ヒマラヤトラノオ」「ヒマラヤユキノシタ」なども植えられている。また、「山野草の庭」では長野県内の山々で咲く高山植物も観賞できる。 雲海ハーブガーデンで採れたフレッシュハーブを使ったドリンクは、「SORA terrace cafe」で提供されているので、散策に疲れたら立ち寄ってみよう。 天空のカフェ・SORA terrace cafeは暖炉とゆったりとしたソファ、カウンター席のあるカフェ。大きな窓から外を眺めれば、まるで雲の上に座っているような、不思議なロケーションである。 用意されているメニューは「雲海パイ包みスープ」や「クラウドボロネーゼ」など、雲をイメージした食事や、雲海マシュマロを浮かべた「SORA珈琲」など。メレンゲとホワイトチョコレートを固めた雲の形のスイーツ「SORA KUMO」はベリーソースがアクセント。コーヒーとともに味わおう。 ソファに置かれたクッションが雲の形だったりするのも楽しい。「雲海ライブラリー」には雲や空、絶景に関する本が置かれているのでゆっくり読書をするもよし。 ロープウェイの運行は20分間隔なので、時間をうまく調整して、遅れずに乗り込みたい。 SORA terrace 所在地 長野県下高井郡山ノ内町夜間瀬11700 営業時間 9:00~19:00(4月27日~9月29日)、9:00~18:00(9月30日~11月4日) 料金 2,400円~(ロープウェイ往復乗車券) 野添ちかこ(のぞえ・ちかこ) 温泉と宿のライター/旅行作家 「心まであったかくする旅」をテーマに日々奔走中。NIKKEIプラス1(日本経済新聞土曜日版)に「湯の心旅」、旅の手帖(交通新聞社)に「会いに行きたい温泉宿」を連載中。著書に『旅行ライターになろう! 』(青弓社)『千葉の湯めぐり』(幹書房)。岐阜県中部山岳国立公園活性化プロジェクト顧問、熊野古道女子部理事。
野添ちかこ