ジャルジャル福徳秀介さん「初デートはわんこそば」「好きだからやれる」思春期の恋愛や読書のきっかけをインタビュー【短編小説集第2弾・刊行記念】
書くこともお笑いも、「再び味わいたい」「好きだからやれる」
―― そこから、どのようにして「書く」という方向に向かったんでしょうか。 福徳さん: 芸人をやっている中で、ちょっとしたきっかけで「ここにショートストーリー書いてくんない?」みたいな話がきました。いざ書いてみたら褒めてもらえて。そこから、吉本興業の情報誌『マンスリーよしもと』で連載が始まりました。 その時は見開きで又吉さんと僕が並んでたんですけど、それがめっちゃいやで! 又吉さんのすごい文章の横に、僕の作文みたいな文章が載っていて「めっちゃいややなこれ!」と思いつつ、「でもまあええか!」と開き直りながら書いていました。書くことに関しては、それがきっかけですね。 ―― 最初からフィクションだったんですね。 福徳さん: はい。又吉さんがあまりにもすごい文章でエッセイを書いてたんで、なんかもう、いてもたってもいられず。あえてこの“ペラ”さで逃げようっていう気持ちがありましたね。 ―― やはり人の前で立って話すという仕事と、フィクションを作って文字化するということには通じるものがありますか。 福徳さん: 通じるものはあると思いますね。書いてる時は“ゾーン”みたいなのに入って書き続けられる瞬間もあって、書き終わった後にちょっと気持ちよかった、楽しかったなみたいな感覚があります。結局、その楽しさをまた味わいたくて書いている部分があるんです。読書も、あの本よりおもろい本を探そうというのがあったんで、結局、再び味わいたいみたいなことが原動力なんですかね。 ―― お笑いのライブにも通じそうですね。 福徳さん: そうですね。NSCに入ってすぐに中間発表っていうのがあって、そこで死ぬほどウケて。これはいいわ、こんな風に笑い取りたいなっていう気持ちでオーディションとか受け続けて。やっぱりウケたいっていう衝動から、お笑いを続けてきた部分はあります。 一方で、10年、15年経ってくると、そんな衝動だけでは続けられない。結局、好きじゃないと続けられないことに気づいて、今はウケたいからというよりも、好きだからやってるというほうが結局勝りましたね。