手塚治虫のライフワーク「火の鳥」初の大型展覧会が25年3月開催 生物学者の福岡伸一が企画・監修
「手塚治虫『火の鳥』展 ―火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命(コスモゾーン)の象徴―」が、六本木ヒルズ・東京シティビューで2025年3月7日~5月25日に開催されることが決定した。 1954年にスタートした「火の鳥」は、「生と死」「輪廻転生」といった哲学的なテーマを表現した、故・手塚治虫さんのライフワーク的作品として知られる大河漫画。はるかな古代から現代、遠い未来まで、さまざまな時代や場所を舞台として、永遠の生命をもち、その血を飲むと不老不死になれるという“火の鳥”を追い求める人々のドラマを描く。 「火の鳥」初の大型展覧会となる同展では、大阪・関西万博(EXPO2025)のテーマ事業パビリオン「いのち動的平衡館」のプロデューサーも務める生物学者の福岡伸一氏が企画・監修を担当。30年以上にわたって執筆された「火の鳥」の壮大な叙事詩を読み解き、作中に込められた「生命とはなにか」という問いの答えを探る。 なお、キービジュアルはグラフィックデザイナーの佐藤卓氏によるもので、時空を超えて存在する超生命体「火の鳥」を中心に据えた、赤と黒を基調としたデザインとなっている。 福岡氏からのコメント全文は以下の通り。 【福岡伸一(企画・監修)】 手塚治虫のライフワーク「火の鳥」。テーマは「生きること、死ぬことの意味は何か」。人間にとって最も深遠な問いです。全編にわたって不死鳥“火の鳥”が登場し、生に執着する人間を翻弄しながら物語を動かします。 そこでは、あらゆる生命が常に姿と形を変えながら、連綿と受け継がれていく輪廻転生の生命観、汎神論的な世界観が示されます。 これは、生命が絶えず自らの破壊と創造を繰り返しながら、エントロピー増大の法則に抗い続けている「動的平衡(どうてきへいこう)」であるとする私の生命論とぴたりと重なります。 本展の狙いは、動的平衡の視点から火の鳥の意味を読み解くことにあります。そして、手塚治虫が描くことを約束しながら果せなかった物語の結末を想像してみたいと思います。ぜひご期待ください。