マフマルバフ・ファミリーが中東情勢をスマホで捉えた2本〈ヴィジョン・オブ・マフマルバフ〉
イランの巨匠モフセン・マフマルバフ監督と次女のハナ・マフマルバフ監督が、混迷を深める中東情勢を即座に世界へ伝えるべく、それぞれスマートフォンで撮り上げたドキュメンタリー「子どもたちはもう遊ばない」と「苦悩のリスト」。特集企画〈ヴィジョン・オブ・マフマルバフ〉として、12月28日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。 スマートフォンはペンのようなもの。伝えるために、誰でも使える最新のツールだ。 戦争が起きると、誰のせいかと探し始めて、誰かのせいにして終わってしまう。 安心して暮らしたいと願う人々の、その声をただ伝えるために映画を作ったのだ。 ──モフセン・マフマルバフ
「苦悩のリスト」The List
2021年5月、アフガニスタンではアメリカ軍の撤退によりタリバンが再び台頭し、空港は国を脱出したい市民が押し寄せてパニックに。7月には、全土を掌握したタリバンによる迫害からアーティストや映画制作者を救うためのグループが発足。マフマルバフ・ファミリーも名を連ねるが、約800人を記載したリストから人数を絞るという苦渋の作業を迫られる──。空港周辺の市民たちと、ロンドンで交渉に当たるマフマルバフ監督らの状況が交差する、緊迫のポリティカル・ドキュメンタリー。 監督:ハナ・マフマルバフ 出演:モフセン・マフマルバフ、マルズィエ・メシュキニ、メイサム・マフマルバフ、ハナ・マフマルバフ、ハナの子ども 撮影:ハナ・マフマルバフ プロデューサー:メイサム・マフマルバフ 製作:マフマルバフ・フィルム・ハウス 2023/イギリス、アフガニスタン、イラン/67分/カラー/DCP/英語、ペルシャ語 2023プサン国際映画祭正式出品/2023山形国際ドキュメンタリー映画祭クロージング作品
「子どもたちはもう遊ばない」Here Children Do Not Play Together
映画のロケハンでエルサレムにやってきたモフセン・マフマルバフ監督は、「イスラエルとパレスチナの紛争に解決の糸口はあるのか」を探るため、迷宮のような旧市街を探訪。街角に佇む老人、パレスチナ系ティーンのダンスグループ、ユダヤ系の若者などと出会っていく──。フットワークの軽い撮影スタイルで、同地の根源的な問題を浮上させつつ、若者たちが体現する微かな希望も捉えた野心的ドキュメンタリー。 監督:モフセン・マフマルバフ 出演:アリ・ジャデ、ベンジャミン・フライデンバーグ、アディ・ニッセンバウム、エルサレムの市民たち 撮影:シャディ・ジャミル・ハビブ・アラー、モフセン・マフマルバフ 編集:マルズィエ・メシュキニ 音響:ハナ・マフマルバフ プロデューサー:メイサム・マフマルバフ 製作:マフマルバフ・フィルム・ハウス 2024/イギリス、イスラエル、イラン/62分/カラー/DCP/英語、アラビア語、ヘブライ語 2024プサン国際映画祭正式出品/2024サンパウロ国際映画祭正式出品 〈ヴィジョン・オブ・マフマルバフ〉 配給:ノンデライコ 宣伝:テレザ