SKY-HIが語る「今も日本でCDが売れる」マズい理由、ファン「応援=CDを積む」という誤解で起きている“弊害”
レコード会社的にも難しい判断ではありますが、このシステムから根本的に脱却しない限り、例えば、ファンの方の応援したいという純粋な気持ちを「枚数を積む」という言い方で経済を回してしまうと皺寄せがくる。 それが割と早くきているのがソロアーティスト。国内のメジャーレーベルにおけるプロモーションのインフラは、ワールドクラスの代理店と言ってもいいくらいのパワーがあるけれど、ソロアーティストの場合は契約しても80万円の広告費でどうしましょう、という話になってきちゃうので、十分にプロモーションしてもらうのは難しい。
今はネットもあって、ソーシャルメディアもこれだけ幅広くあって、TikTokからバイラルヒットも生まれやすいので、楽曲が聴かれる機会というのは増えたと思いますし、マネタイズの手段自体も本当は増えている。 しかし、例えばTikTokでバイラルヒットを飛ばした才能のあるアーティストがいたとしても、レコード会社が次はドカンと予算を使ってプロモーションをして、日本にこんな素晴らしいアーティストがいるというのを世界に知らしめようとしてもできる構造ではなくなってきている。
■今必要なのは、「嘘をつかない」こと 倉沢:BMSGの場合、ビジネスモデルとしては収入源は多様化できているということですか。 SKY-HI:そうですね。そこが本当に大きい。アーティストであったり、我々のような芸能事務所であったりに、今本当に必要なのは、もう嘘をつかないとか、そしてそれを信頼してもらうとか、そういうところの気がしますね。 ファンの方に期待という名前の信頼をしていただいているというところが一番強いように思います。ファンの応援の気持ちを煽り過ぎてビジネスを成り立たせるっていうことがないようにしたい。射幸心を煽ってもよくないんですよね。
それは任天堂の(元社長の)岩田(聡)さんの言葉から学びましたけれど、射幸心を煽って成り立たせるビジネスは長期的に捉えた場合、お客様の信頼を得ることにはつながらない。短期的にそこで利益が出たとしても、それは会社の資産にはならない。 信頼を得るという作業こそが一番必要なのであって、それを短期的にお金に変えるために射幸心を煽るっていうのはビジネスとして正しくないっていう言い方をズバッとされていた。いわゆるソシャゲとかが流行っていた時に、任天堂が参入しなかったタイミングでの発言だったと思うんですけど、それは本当に同じことだと思います。