エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
野生馬がサラブレッドのコースを走り観客を魅了
“青春の車”とも表されるフォード「マスタング」もまたアメリカを代表するスポーツカーです。
日本でも販売されていましたが、フォードの日本撤退と共に入手困難となりました。しかしアメリカではもちろん生産と販売が続いており、年々進化しています。 2024年9月16日、フォードは2025年型の高性能版「マスタングGTD」をアメリカ本国で発表しました。 マスタングは「エコブースト」「GT」「ダークホース」とラインアップしていますが、GTDは別格でパフォーマンスモデルに位置付けられています。公道走行が可能なマスタングの中では頂点です。 GTDのボディには、張り出した前後フェンダーやダクト、GTウイングなどのエアロパーツが装備されています。 スペックは見た目通りです。5.2リッターのV型8気筒スーパーチャージドエンジンを搭載し、最高出力815HP(826PS)・最大トルク664LB-FT(91.6kgm)を発揮します。 サーキット走行にも対応したGTDですが、箱型のクーペがベースともあり、そのスタイルはさながらチューニングカーのようでもあります。この独特の雰囲気もまたアメリカンならではといえます。 まず、古き良きアメリカンマッスルの雰囲気を持つのがダッジ「チャレンジャー」でしょう。
直線を基調とした箱型のクーペボディと円形かつ左右2眼ずつのヘッドライト、そしてシンプルなグリルは往年のアメリカンスタイルと言えるもので、ワイドボディ車は、さらに張り出した前後フェンダーが筋肉質なイメージを高めています。 エンジンは5種類が用意されていますが、最高グレード「SRT スーパーストック」に搭載されるのは6.2リッターのV型8気筒OHV。アメリカンらしい「スーパーチャージャー」が搭載されており、最高出力807HP(818PS)/6400rpm・最大トルク707LB-FT(97.6kgm)を発揮します。 これほどの大パワー・高トルクにもかかわらず、駆動方式は後輪駆動を採用。ユニークなのは「ラインロック」機能を搭載していることで、前輪のみにブレーキをかけることができます。 それはすなわち「バーンアウト」ができるということです。V8の猛々しい音を響かせ後輪を空転し白煙をあげる。エコに反して懐古的にも思えるそんな機能が載っている点もまた、アメリカンらしいポイントではないでしょうか。 ※ ※ ※ 3台のアメリカンスーパースポーツを紹介しましたが「カマロ」も忘れてはいけないでしょう。 2023年にフランスで開催される「ルマン24時間レース」。そこにアメリカのレースシリーズ「NASCAR」仕様のカマロが出場しました。 ルマンの老舗チームは、先進のプロトタイプレーシングカーらしいスタイルのマシンを用意しましたが、NASCARカマロは市販車を踏襲した箱型のボディです。 欧州のスーパーカーに比べれば野暮ったい感じがしましたが、蓋を開けてみればGTE Amクラスを凌駕するスピードを見せ、大きなインパクトを与えました。 ルマンでは聞き慣れないアメリカの魂(V8エンジン)の咆哮は野生そのものの響きでした。 ルマンを走るのは調教されたサラブレッドがほとんどです。しかし、その中に放たれた野生馬は、サラブレッドよりも目立っていました。
Peacock Blue K.K.