2050年には消費者の4割が高齢者に…お金を全然使わなくなる高齢国家の「深刻な未来」
この国の人口はどこまで減っていくのだろうか。今年1年間の出生数が70万人割れになるかもしれず、大きな話題となっている。 【写真】日本人は「絶滅」するのか…2030年に百貨店や銀行が消える「未来」 そんな衝撃的な現実を前にしてもなお、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。
2050年、消費者の4割が高齢者になる
『未来の年表 業界大変化』では、「消費者の実数が減る以上に消費力が衰える『ダブルの縮小』」が日本を襲いつつある現実と未来を、ビジネス業界に力点を起きつつ解説している。 大前提として、2050年頃には、消費者の4割が高齢者になる未来がやってくる。 〈国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計によれば……高齢化率(総人口に占める高齢者の割合)は2022年9月15日現在で29.1%に達しているが、2050年代には38%程度にまで上昇する。(……) 高齢になると、一般的に現役時代に比べて収入が少なくなるが、一方で「人生100年」と言われるほど超長寿時代となり、いつまで続くか分からない老後への不安は募るばかりだ。 医療や介護にどれだけ費用がかかるか予想がつかないため、気前よくお金を使うわけにもいかない。若い頃に比べて消費する量は減り、住宅取得やマイカーの買い替えといった「大きな買い物」の必要性も乏しくなる。80代にもなれば生活圏は狭くなり、外出率自体が低くなる。〉(『未来の年表 業界大変化』より)
人口減少日本を変える10の方法
マーケットが大幅に縮小し、人口や経済が拡大していた頃の成功体験を引きずってしまっては、日本は沈没に向かうのかもしれない。 では、どうすればいいのか――。 『未来の年表 業界大変化』では、「未来のトリセツ」として10のステップを提示している。 ステップ1 量的拡大モデルと決別する ステップ2 残す事業とやめる事業を選別する ステップ3 製品・サービスの付加価値を高める ステップ4 無形資産投資でブランド力を高める ステップ5 1人あたりの労働生産性を向上させる ステップ6 全従業員のスキルアップを図る ステップ7 年功序列の人事制度をやめる ステップ8 若者を分散させないようにする ステップ9 「多極分散」ではなく「多極集中」で商圏を維持する ステップ10 輸出相手国の将来人口を把握する たとえば、「ステップ9 『多極分散』ではなく『多極集中』で商圏を維持する」では、分散して住むのがいいか、集住がいいのかについて、後者を進めるべきと結論づけている。 〈人々がバラバラに住むことで商圏人口が著しく縮小したならば、企業や店舗は経営が成り立たなくなり、撤退や廃業が進む。民間サービスが届かなくなればさらに人口流出が速まり、ますます企業や店舗の撤退、廃業が加速するという悪循環となる。(……) 「多極分散」では行政サービスや公的サービスもコストパフォーマンスが悪くなり、国家財政や地方財政が悪化する。やがて増税や社会保険料の引き上げにつながり、国民の可処分所得が低下するのである。〉(『未来の年表 業界大変化』より) 日本はこれまで成功体験を捨て、「戦略的に縮む」という成長モデルへの転換を果たすことができるのか。 一人ひとりは、企業は、何をどこから手をつけるべきなのか。 つづく「日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」」では、「ポツンと5軒家はやめるべき」「ショッピングモールの閉店ラッシュ」などこれから日本を襲う大変化を掘り下げて解説する。
河合 雅司(作家・ジャーナリスト)