本を読めないエリート大学生の悩みに失望する教授たち 若者たちに欠けている重要な「力」
対応に迫られる大学
デイムスをはじめとする教授たちが大学で目にしてきた問題は、いわゆる学力の高くない学校の問題とは違う。コロンビア大学のようなエリート校の学生たちにとって、言葉や文章の意味じたいを読み解くことは簡単だろう。しかし彼らは、膨大なページ数の本を前にすると、集中力と向上心を保つことができなくなってしまうのだ。 この難問に直面した多くの大学教授たちに残された選択肢は、課題図書のボリュームを減らし、学生たちに対する期待値を下げることだった。 1997年からカリフォルニア大学バークレー校で文学を教えてきたヴィクトリア・カーンは、かつて1週間に200ページを読む課題を出していたが、いまではその半分以下のページ数に減ったという。 「私はもう、『イーリアス』全体を教えることはありません。『イーリアス』に関する本を課題にしていますが、作品全体を読んでくれる学生が現れることを期待しています」とカーンは語った。「『イーリアス』を3週間で読んできてね、とは言えません。だって、絶対に読んでくれませんから」
Rose Horowitch