うまくいかないことは「アドラー流」で解決。自分と相手を勇気づける4つのヒント
相手と自分を「勇気づけ」るための4つのコツ
では実際に、アドラー心理学を実践してみましょう。本書1~4章から1つずつ、いつのまにか気分が上向きになるコツを紹介します。 1.「こうなったらいいな」から逆算する 1つ目の章で語られているのは、頑張りすぎる自分を勇気づける方法。この「勇気づけ」とはアドラー心理学の基本で、困難を克服する活力を与えること。人だけでなく、自分にも活力を与えるためのノウハウです。 自分を勇気づけるための方法の1つとなるのが「こうなったらいいな」から逆算すること。 たとえば「1年後はこうなっていたい」と設定し、半年前、3カ月前、1カ月前と逆算していくと、おのずと今日なすべきことが見えてきます。 ここで大切なのは、ふわふわとした希望ではなく、「こうなっている!」という具体的なミッションを掲げること。「思っていたことが徐々に現実化していく体験こそが、自分を勇気づけることになる」と岩井さんは書いています。 2. ダメ出しは、相手の気持ちが離れるだけ 2章で語られているのは、相手と自分の気持ちを合わせるコツ。人の気持ちをもっと理解する方法です。 岩井さんが本書で何度も語っているのは「ダメ出しよりもヨイ出しを」ということ。しかし多くの人が、相手ができているところは見ずに、できていないところばかりを指摘してしまいがちなのだそうです。 このダメ出しを続けることで、互いの「尊敬・信頼・共感・協力」の姿勢は失われてしまうのだとか。相手のいいところを見つける「ヨイ出し」を心がけましょう。 3.「ほめる言葉」より「勇気づける言い方」を ヨイ出しができたら、それを言葉で伝えたいもの。しかし、伝え方にもコツがあるようなのです。 「ほめる」と「勇気づける」の最大の違いは、使える場面の限定性。 「ほめる」は相手が成功した状況(あるいはほめる側の期待に沿った状況)でしか使えません。一方、「勇気づける」は、相手がたとえ失敗してしまったときでも使うことができます。 (『アドラー流 気にしないヒント 自分にやさしくなれる法』81~82ページ) たとえば、契約を取り付けた(成功した)営業マンに「よくやったね!」とほめることはできますが、契約を取れなかった営業マンは成功という条件を満たしていないので、ほめることはできません。 しかし、失敗した相手にもできるのが「勇気づけ」。「残念だったなぁ、あんなにがんばったのにな。でも学べたことは多かったんじゃないかな」と、相手の頑張りや取り組み方に共感する「ヨイ出し」と言葉かけも意識しましょう。 4. 3分間、手を止める 4章で語られているのは、何事も「受け止めやすくする」ためのヒント。うまくいかないことへの向き合い方が説かれています。うまくいかないといえば「コミュニケーション」を挙げる人も多いはずです。 コミュニケーションについては、まず人の話をしっかりと聞くこと。ただ聞くのではなく、手を止めて3分間はこちらから何も話さずに「聴く」こと。それによって強い人間関係を築くことができるのだそうです。 コミュニケーションが苦手な人は、話し方教室やプレゼン研修に通うよりも、「まずは聴き方の訓練を」と岩井さん。 そして聴き終わって意見や指示をするときは、口で言うだけでなく、視覚に訴えかけると効果的。メールや資料といった目で確認できるものに残すといいそうです。 どうでしょう。「すでに実践している」という人も多いのでは? それだけアドラーの心理学が浸透しているとも言えます。 5章ではタイプ別の対処法が、巻末ではアドラー心理学への理解をより深めるためのキーワードが紹介されていますので、気軽にアドラー心理学にふれたいという方は、ぜひ手にとってみてください。 ──2023.07.15公開記事を再編集して再掲しています。 Source: 三笠書房
ライフハッカー・ジャパン編集部