岡田将生、どうか結婚しないでほしい…。独身俳優・最後の星、意外なハマリ役とは? 役者としての稀有な魅力を徹底解説
世は多様性の時代。時代の変化と共に人々の結婚観も変化し、それに呼応して”結婚”をテーマにした作品は多岐にわたる。今回は、最後の独身男性として希望の星でありながら「”結婚”に思い悩む役」を演じればピカイチの俳優・岡田将生に注目。近年の岡田が演じる役の傾向に着目しつつ、役者としての魅力を紐解く。(文・小林久乃)
”結婚”と戦い、”結婚”に苦悩する俳優・岡田将生
結婚をテーマにしたドラマは数多ある。かつては女性が「結婚をして出産をするのが幸せ」だと、両親の以前の代から脈々と続く、しきたりに捉われていたからだ。苦難を強いられること、その題材が市井に溢れているほど、物語は作りやすくなる。 ただ時代の様相は少しずつ変わった。過去のドラマ作品から探っていくと『結婚できない男』(カンテレ・フジテレビ系、2006)のあたりから、高スペック男性でも結婚に思い悩む姿に共感が集まるように。東日本大震災を経て『最高の離婚』(フジテレビ系、2013)では、偏屈な主人公が離婚に向かっていく、新しい切り口が披露された。離婚は恥ずかしいことではなく、幸せな選択肢であるとドラマが教えてくれるようになったのだ。 結婚してもしなくても人生はうるわしい。最近では入籍にこだわらず、自分たちらしい方法を探す『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)に見られるような、家族の形も放送されている。 そんな最中、結婚の二文字と戦い、思い悩む登場人物を演じるととんでもない魅力を発揮する俳優を発見した。勘のいい人なら気づいていると思うが、岡田将生だ。
『大豆田とわ子と三人の元夫』から見せていたひねくれた男性像
結婚がうまくいかない男の役の片鱗は2021年放送の『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)の、中村慎森役あたりから漂っていた。とわ子の三番目の夫で、弁護士で顔もいいのに、どうも難癖が強く、ひねくれている。明らかに友達は少なそう。 「うん、他人だね。関係ないね。清少納言とステーションワゴンくらい関係ない」 たった一言「関係がないから」で完結できず、余分なことばかりを言う。それでもとわ子が好きで、離婚をしたくなかったのは慎森のほうだったと記憶している。いくら顔が岡田将生でも、慎森のいいところを探すのは大変そうだ。 今年6月に配信となった『1122 いいふうふ』(Prime Video)で演じた、相原二也(おとや)は、こじらせ夫の代表のような存在だった。 二也は妻・一子(高畑充希)の前ではべらぼうに優しく、気の利き方が半端ない。なのに夫婦生活を拒否されたことを理由に、妻公認の浮気をしている。結局この不貞行為も局部に剣山を刺されるという、超・斬新な手法で終焉を迎えるのだが、妻が風俗に行ったと知ると、ショックだと家出をする。それでも最終的には離婚をしても、一子が好きだと言い張る。 行動を総括すると、非常に面倒な夫なのである。繰り返すが顔が岡田将生だから許されるけれど、勝手に悩んで行動を起こす、自己中心的な素行には嫌気がさすだろう。私でも剣山をどの部位にぶっ刺そうか考えるかもしれない。でもそういう特性の夫に対しては、一子のように器量の大きい妻が存在するので、夫婦の縁とは本当に不思議だ。