地球に似ていても色は違う? 植物が生息する太陽系外惑星の色を予測した研究
さまざまな条件と雲の量を備えた地球に似た惑星のモデルを作成して分析を行った研究チームは、特に赤色矮星を公転する系外惑星では可視光線の赤色光や赤外線を利用する紅色細菌のような生物が優勢になる可能性があり、強い色のバイオシグネチャー(生命存在の兆候)を生成すると結論付けました。地球の紅色細菌と全く同じ生物が系外惑星にも存在するとは限りませんが、研究チームは紅色細菌に含まれるさまざまなカロテノイドを念頭に、系外惑星の表面は赤色・茶色・オレンジ色・黄色といった幅広い色で着色される可能性があると指摘しています。 今回の結果は単に系外惑星の見た目を予測するだけに留まりません。地球の植物には波長700nm前後の光をよく反射する性質があります。この波長はレッドエッジ(Red edge)と呼ばれていて、地球観測衛星を使って農地や森林の状態を知る上で利用されています。系外惑星の探査でも植物の存在を示すバイオシグネチャーとしてレッドエッジを利用できる可能性が指摘されていましたが、今回の研究ではレッドエッジ以外の波長でもバイオシグネチャーを検出できる可能性が示されたことになります。 1990年にアメリカ航空宇宙局(NASA)の無人探査機「Voyager 1(ボイジャー1号)」が撮影した点のような地球の姿は「Pale Blue Dot(ペイル・ブルー・ドット、淡く青い点)」として知られていますが、今回の研究でシミュレートされた惑星についてコーネル大学は「Pale Purple Dot(ペイル・パープル・ドット)」と表現しています。今後の系外惑星探査ではレッドエッジに限らず、より幅広い波長のバイオシグネチャーを探し求める観測が行われるようになるかもしれません。 Source Cornell University – In search for alien life, purple may be the new green Coelho et al. – Purple is the new green: biopigments and spectra of Earth-like purple worlds (Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)
sorae編集部