400ccスポーツモデル対決|ヤマハ「MT-03」VS KTM「390 DUKE」VS カワサキ「Ninja ZX-4RR」
身近な峠道でスポーツライド気分が楽しめるバイクたち
400クラスのイイところは、小さなコーナーが続く峠道でも無理せずにスポーツライディングできること。強大なパワーのリッターバイクだとアクセルが開けにくくてストレスが溜まっちゃうようなタイトコーナーでもそれなりに開けていけるし、カーブへのアプローチでミスって失速したときも250よりリカバリーが楽。ボディサイズとエンジンパワーの良好なバランス感がなせる技といえよう。 【写真はこちら】試乗比較した3台の写真(全12枚) ここで海外勢のパワーはスゴイ! と感じさせてくれたのが390DUKEだ。エンジンからフレーム、足まわりにいたるまで一新した24年モデルは、より戦闘的なフォルムになった。排気量が約25cc増えた単気筒エンジンはレスポンスが良く、軽量な車体をグイグイと進めていく。車体がコンパクトなこともあってハンドリングはクイックでモタードに近い。それでいて安定しているのは足まわりの進化のおかげ。サスペンションの動きがよく踏ん張りも効くので、ギャップをうまく吸収しながらブレーキングではスムーズにノーズダイブ。フロントから接地感がしっかりと伝わってくるので不安なくバンクに移行。するとねらったところでスパッと鋭くバンクして、ピタッと安定する。 バネ下の軽量化も効いているのだろう、ヒラヒラと軽快な挙動でライン取りは自在だ。立ち上がりでは先代よりスムーズにトルクが出るエンジン特性を活かして鋭くダッシュ。シングル特有の蹴り出し感は痛快そのものだ。 MT-03のツインエンジンのフィーリングは、よりスムーズなもの。リズミカルな鼓動感はあるが振動は少なめ。なめらかだけどおとなしい感じなのは、他車より排気量が少ないことも影響していそうだ。ハンドリングは軽すぎず、狙ったラインをトレースする柔軟性が高いもの。しなやかで懐が深く “さすがヤマハ!” と感じさせてくれる。 前後タイヤの接地感も適度に伝わってくるのでオン・ザ・レール感覚でコーナーを抜け、次のコーナーに向けてスムーズに切り返すことができる。コーナーリングスピードを落とさずにアクセルオンしていくとスルスルッと立ち上がっていく…ハズなんだけど、今回はナゼかリア側が振れる現象が。どうやらオプションのリアキャリアが要因のよう。こういうカスタムはツーリングには便利だけど、スポーツ走行には影響があることをあらためて実感した。バイクってオモシロイよね~。 そしてクラス唯一の直列4気筒エンジン搭載モデルのZX-4RRだ。これはもう「ウォン、ウォン! 」という排気音を聞いただけでテンションが上がる。このエンジンレイアウト、大好きなんだよねぇ~! スタート時のトルクこそ1&2気筒より薄いが、レスポンスが良いので一気に吹け上がる。クイックシフターの反応もよく、シフトアップ&ダウンが気持ちよくキマる。車重が重いのでコーナーへのアプローチは少し慎重になるが、フロントまわりの剛性が高いので不安なくブレーキングできる。幅がある重いエンジンが低い位置にあるためバンクはゴロンと転がすような感覚。サスペンションがコーナーリングフォースをしっかりと受け止めてくれるので、バンク中の挙動も安定。出口でアクセルを開けると連続したトルクがズィーッとリアタイヤを押し出していき、伸びの良い加速が味わえる。 この気持イイ吹け上がり感はZX-4RRでしか味わえない。セパハンによる攻め感が強いポジションといい、純粋にスポーツライドが楽しめるバイクだ。
横田和彦