寝たきりを防ぎ「70歳でも元気」でいるために必要なのは、“1回たった30秒”の筋トレだけだった
筋肉は、たくさんのエネルギーが必要な“燃費の悪い”臓器ですから、筋肉もエネルギー源として使ってしまい、脳がわざと筋肉量を減らすのです。 では、寝たきりでなければ筋肉量が維持できるのか? というとそれは“NO”です。悲しいことに、筋肉は1つ年をとるごとに、1%ずつ減っていくといわれています。 下肢の筋肉は特に減りやすく、筋肉量のピークは20歳頃で、そこから1年に1%ずつ筋肉が減っていく計算です。すると、50歳には30%減り、70歳では半分になってしまうことになります。筋肉量が体力と比例するという考え方をベースにすると、70歳の人の体力は20歳の人の半分しかないということになります。
■70歳でも体力がある人と、ない人の決定的な違い ここまで残念な話しかしてきませんでしたが、絶望する必要はありません。筋肉は何歳であっても、鍛えて復活させられるという側面があるからです。特に骨格筋は、年齢にかかわらず、筋トレで刺激を与えると、やがて筋肉量が増え始め、筋力も高まっていきます。これは朗報ですね。 体力を線香にたとえると、努力しだいでは、燃え尽きそうな線香でも、長さを継ぎ足せるということです。
70歳の体力は、20歳の人の半分、という話をしましたが、70歳でも若い人と遜色がないほどの体力がある人もたくさんいます。そういう人は、アクティブに生活をしているだけではなく、ケガや病気になりにくいし、仮になってしまったときでも回復が早いという特徴があります。 70歳でも体力がある人と、ない人の決定的な違いはどこにあるのか、それは再三お伝えしていますが、「筋肉量の違い」しかありません。ですから、早期回復、再発の防止のために私のクリニックで行っているリハビリでは、筋肉をつけてもらうことを主目的とした運動療法に重きを置いています。
しかし、ご高齢の患者さんのなかには自分で運動するのはおっくうで、マッサージなどの心地のよい施術のみを受けたがる方がいます。 マッサージは血行をよくしたり、筋肉の緊張をゆるめたりするので、一時的には症状が楽になることも多いです。しかし、マッサージで筋肉が増えることも、筋力がつくこともありません。心地のよい施術だけでは体力をつけることはできないことを心にとめておいてください。 筋肉はほかの臓器とは異なり、筋トレなどの運動をすれば、いくつになっても成長するという特性があります。つまり、あなたの意思で、老化に抗うことができるのです。