EVとV2H機器があれば停電時でも普通に家で生活できる? 使用電力について計算してみた!
出力制限は存在するのか?
EVのもっている電力は、モデルによって走行以外に利用できるのもメリットになっている。EVに備わる100Vコンセントなどを利用してアウトドアなどで家電を利用するのはV2L(Vehicle to Loadの略称)といって、通常は1500W(15A・100V)が上限となっている。 【画像】激安EVには蓄電池としての活用法もある! その上をいくのがV2H (Vehicle to Homeの略称)で、日本ではCHAdeMOの急速充電ポートを利用して専用機器とつなぎ、EVの電力を家庭に供給するシステムがスタンダードとなっている。 太陽光発電と組み合わせて日常的に家庭全体のエネルギー最適化を図るという狙いで利用することもあれば、災害時のバックアップとして捉え、長時間の停電でもストレスなく生活を送るためにV2H機器を設置することもある。なお、V2Hを設置できるのはおもに戸建てとなる。 しかし、巷では「じつはEVには出力制限があるのでV2Hを使っても日常生活は送れないらしい」というネガティブなウワサも流れている。はたして、EVでV2Hを活用するときに問題となるような“出力制限”は存在するのであろうか。 その前に、家庭ではどのくらいの電力を使用しているのか整理してみよう。 個別のケースでは差は生じるだろうが、一般論でいえば戸建ての家庭の月間消費電力量は約400kWhとされている。オール電化の戸建てで電力によりお湯を沸かしていたり床暖房を利用していたりすると、冬季では1000kWhを超えるケースもあるようだが、ひとまず月間消費電力量が400kWhという条件で考えてみよう。 単純計算すると1日あたりの消費電力量は13kWhだ。 多くの家庭では電気契約をアンペア数によっているだろうが、日本の電圧は100Vのため30Aであれば瞬間的に使える上限は3kW、60Aでは6kWといった風に計算できる。常時、ギリギリの電力消費をしているわけではないだろうし、13kWhという数値を24時間で割ると、おおよそ平均的に5A相当の消費をしているイメージになる。 電気ヒーターやアイロン、ヘアドライヤー、トースターなど瞬間的に大きな電力消費をするものを我慢すれば、計算的にはV2Lの活用でも災害時に生活することは不可能ではないともいえる。 ただし、車内のコンセントに延長コードをつないでエアコンや冷蔵庫などを稼働させるというのはいろいろな意味で現実的ではない。V2Lは避難所の駐車場で車中泊するようなシチュエーションでは十分に活用できても、家庭全体に供給するには力不足であるし、利便性も悪い。