NHK“中国EC特集”が炎上 「宣伝だ」批判も…放送法は“広告放送”を禁止 局側の「制作意図」とは?
「宣伝だ」批判に対するNHKの見解は…
上記の基準に照らせば、そもそも特定企業の特集をするのはありなのか、という疑問が出てくるかもしれない。ただし同局には「プロジェクトX~挑戦者たち」(現在は「新プロジェクトX~挑戦者たち」として毎週土曜19時30分~放送)など、ひとつの企業の復活劇や商品開発の裏側に迫る番組もある。 特定企業を特集する際、広告・宣伝とならないよう、どのようなポイントに気をつけているか。また今回の特集について、一部視聴者から「宣伝だ」などの批判があることについて、NHKではどのように受け止めているのか。編集部が広報局に尋ねたところ、次の回答が得られた。 「NHKの放送ガイドラインでは、『特定の団体や企業、個人の利害に左右されず、不偏不党の立場で公平・公正な放送を行う』と明記しており、これに基づいた取材・制作を行うよう努めています。 今回のリポートは、中国発の越境ECが若い世代を中心に利用者を増やしている現状やその背景とともに、模倣品が販売され、安全基準が満たされていないといった指摘が出るなど、複数の課題があることを伝えるために制作・放送したものです」(NHK広報局) SNSなどでは「問題点については最後に少し触れただけ」「特集の大半は絶賛する内容だった」といった批判もあった。実際の放送を見ると、たしかに約7分の放送の5分ほどは利用者の声やサービスの仕組み、残り2分ほどが各国における懸念に触れた内容となっている。 しかし、問題を深く理解するには、そのものの実態をきちんと知ることも重要だ。今回も、サービスを積極的に使う人が増えている事実や、利用拡大の背景を詳細に伝えることで、視聴者に問題提起する意図があったようにも考えられる。 受信料を基盤に運営されているNHKには、他の報道機関以上に国民の厳しい視線が向けられている。世の中の多様化が急速に進む今、公共放送として何をどのように伝えるべきか、難しい選択を迫られる機会が増えているのかもしれない。
弁護士JP編集部