闇夜を照らす伝統の技 「長良川鵜飼」が開幕 5年ぶり制限なし
1300年の歴史を持つとされる「ぎふ長良川鵜飼(うかい)」が11日夜、岐阜市で開幕した。今年は新型コロナウイルス対策による観覧船の定員制限が完全になくなり、5年ぶりにコロナ禍前の姿に。多くの観客が見守る中、鵜匠(うしょう)らは喜びをかみしめながら伝統の技を披露した。10月15日まで行われる。 【写真まとめ】幻想的な雰囲気の「ぎふ長良川鵜飼」 日が落ちて周囲の景色が暗くなる中、鵜匠が乗る鵜舟のへさきにかがり火がともされ、川辺は幻想的な雰囲気に包まれた。鵜匠が巧みな手縄(たなわ)さばきで鵜を操り、水中のアユを捕らえると、観覧船の乗客から拍手が起こった。後半、6隻の鵜舟が横一列になってアユを追い込む「総がらみ」でクライマックスを迎えた。 鵜匠代表の杉山雅彦さん(61)は「毎年初日はうまくできるか不安だが、157日間、みなさんに楽しんでもらい、たくさんの魚をとりたい」と語った。 5年ぶりに制限のない開催となったことで、市はインバウンド(訪日外国人)の増加にも期待する。申し込みサイトは外国人向けに英語入力も対応させるなどし、今年は観覧船の乗客目標を9万人に設定。初日は32隻に745人が乗船した。 横浜市の加藤亜衣さん(25)は「火の粉がすぐそばまで降ってきて迫力があった」と笑顔。一緒に乗船した同市の大庭遼さん(26)も「伝統的な漁を間近で見ることができて感動した」と話した。 外国人の姿もあり、ツアーで訪れたウクライナ人の女性(45)は「とてもきれいで、楽しかった」と語った。 この日は岐阜県関市の「小瀬鵜飼」も開幕。10月15日まで行われる。【稲垣洋介】