綱啓永「なかなか“オジサン”なんて呼べない」 NHK夜ドラにて共演の高橋克典との現場裏話
NHK初出演にして主演。放送中の夜ドラ『未来の私にブッかまされる! ?』で主人公の五十嵐頼人を演じている綱啓永さん。社会人10年目を迎える市役所職員の頼人は、失敗してはいけないというプレッシャーを抱えながら、安定第一の堅実な人生を送ってきた。そんな頼人の前に現れたのは“30年後の未来からやってきた五十嵐頼人”だと主張するオジサン (高橋克典) 。未知の価値観を持ったオジサンの大胆な行動によって、現代を生きる頼人自身がフタをしてきた夢、仕事、友情、恋愛、結婚などの人生の宿題が一気に“ブッかまされる”ことになるという物語。放送は第2週に突入し、新たな展開も注目されている。 ――オファーを受けた時の気持ちから教えてください。 綱啓永さん (以下、綱) :僕の大好きなおじいちゃんがよく見ているNHKに、初出演できるだけではなく初主演も叶ったのは本当に嬉しかったです。 ――初めて台本を読んだ感想はいかがでしたか? 綱:オリジナル脚本なんですが、初めて台本を読んだ時からスラスラ読めて頭に入ってきて。普段はこのシーン大変そうだなとか、ここセリフが多いな、などいろいろ考えながら読むことが多いのですが、そんなことを考える暇がないほど面白くて、あっという間に読み切りました。月曜から木曜まで毎晩15分の夜ドラ枠ですが、毎話何かが起こるから忙しいし、物語のテンポがすごくいいところがポイント。きっと幅広い世代の方に楽しんでいただけるはずです。 ――撮影中の印象的なエピソードがあれば教えてください。 綱:僕は克典さんとの現場が多いんですが、どっちも“五十嵐頼人”なので撮影に入る時は「ダブル頼人さんお願いします」なんて呼ばれるんです。タイムスリップ系あるあるかもしれないけれど、僕はそうやって呼ばれるのが初めてだから嬉しくて。克典さんと同じ人を演じているとか、一人じゃない感じが心強いです。ただ、台本には僕は“頼人”で克典さんは“オジサン”と書かれていて。克典さんは「もちろんそう呼んでください」と気さくに言ってくださるんですが、みんな誰も、なかなか“オジサン”なんて呼べないじゃないですか (笑) 。 ――高橋さんといえばベテランの役者さんですからね。 綱:そうなんですよ。その結果、僕を「頼人」、克典さんを「克典さん」って呼んでいるから、役名と役者の名前が入り交じって混乱する時があって。それも面白いです。常に和気藹々とした現場で、スタッフさんもキャストも明るいし、重めのシーンを撮影する日はスタッフさんたちが空気作りをしてくれるからすごく助かっていて。克典さんもそうですけど、恋人の筒井凜役の久保史緒里さんや、頼人の高専時代からの仲間・清水開 (佐野弘樹) 、ブレーン (東野絢香) 、ナイス (岩男海史) 、姫 (野村麻純) たちとの前室はわちゃわちゃしすぎてて、毎回撮影が楽しみなんです。 ――いいですね。このドラマの見どころを教えてください。 綱:何か大事な選択を迫られる場面で、失敗が嫌いな頼人はそれまでいろいろなことから逃げてきたんですが、ある時オジサンから「それでいいのか」と迫られ、それをきっかけに成長していく物語。失敗することが成長に繋がるということを教えてくれるし、そんな頼人や他のキャラクターが前向きに進んでいく姿を見て、明日も頑張ろうと思えるはず。肩の力を抜いて見ていただけたら嬉しいです。 同世代の役者にはライバル意識しかないです (笑) 。 ――「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」 (以下、ジュノンボーイ) でグランプリを受賞したことが、芸能界入りしたきっかけでしたね。 綱:18歳の時に親戚のおばさんに履歴書を送らないかって言われて、確か友達と撮った写真をトリミングして送った気がします。でも芸能界なんて僕に言わせてみたら、総理大臣を目指すぐらい別世界の話すぎて。ジュノンボーイでグランプリを獲るなんてすごいことだと思っていました。 ――いや、すごいことですよ。 綱:いや、僕はもっとすごいことだと思っていました (笑) 。だから名前を呼ばれた時、本当に運がいいと思ったし、やったー、俺これでスターじゃん! なんて簡単に思ってたんです。 ――過去にも錚々たるメンバーが受賞しているコンテストですから。 綱:そうなんです。でも自分が浅はかでした。もしオジサンみたいに過去に戻れるなら、その時の自分に「そんなに簡単じゃない。ここからものすごく大変で、くすぶる時期もたくさんあるけど、頑張れ。そうすれば結果はいつかついてくるから」って言いたいです。 ――大変だった時期があったと? 綱:もちろん、ずっとです。いや、今もまだまだですけど、ようやく転機が来たなと思ったのが、デビュー4年目に出演したドラマ『君の花になる』でした。 ――ボーイズグループ“8LOOM”の成長物語で、ドラマを飛び出して実際に音楽活動もされていましたね。やはりこの作品に出たのは大きかったですか? 綱:大きかったです。例えば街を歩いていて声をかけられるようになったし、いま考えると“8LOOM”ってすごいメンバー (高橋文哉、宮世琉弥、八村倫太郎、森愁斗、NOA、山下幸輝) が集まっていたなと改めて思うんです。当時からみんな本当にカッコよくて頑張っていて。だから俺も頑張らないとなって、思い返すたびに気合が入ります。あの作品に参加できたことで、階段の0段目から2段上がれた気がするんですよね。 ――その階段は全部で何段? 綱:100段ぐらい (笑) 。先はまだ長いです。 ――確かにその後、主演ドラマが増えましたが、そもそも戦隊シリーズや話題の連ドラ、今年は世田谷パブリックシアターの舞台にも出演されるなど、いろんなジャンルを経験されていますね。それは振り幅の広さにも繋がるのでは? 綱:そう言っていただけるのはありがたいですが、事務所に「何でもやります!」と伝えていたんです。 ――その中で何か掴めましたか? 綱:それまでは“やんちゃな陽キャ”イメージだったんですが、昨年主演させていただいたドラマ『恋愛のすゝめ』でめがねをかけた役を演じて以来、実は連チャンでめがねキャラになっていて (笑) 。 ――めがねのイメージあります! ドラマ『366日』の吉幡和樹も、今回の頼人もそうですね。 綱:不思議だとも思いつつ、でも一つ武器を持つことができたとポジティブに考えてもいて。 ――ポジティブな性格ですか? 綱:もちろん落ち込む日もありますが、ベースは元気で明るいと思います。落ち込んでも1日で忘れるようにするし。 ――忘れるコツはありますか? 綱:友達と会って楽しい時間を過ごすこと。仲がいいのは俳優の樋口幸平。“8LOOM”のメンバーではこの前、倫太郎とNOAと車でIKEAに行ったりもしました。 ――子供の頃から、ポジティブな性格だったのでしょうか。 綱:それが小さい頃は、家でだけは明るい子だったんですが、人見知りの極みで、友達が全然いなくて。外では誰とも喋らなかったし、母親いわく写真が大嫌いでカメラを向けると泣いていたらしいです。今なぜこの仕事をやっているのかわからないですよね (笑) 。 ――確かに (笑) 。今はだいぶ人見知りもなくなってきました? 綱:さすがに7年目になると少しは慣れてきますけど、でも相変わらず人見知りです。 ――では友達は今もそれほど多くはないのでしょうか。 綱:そうなんです。“よっ友” (「よっ」と挨拶するだけの友達) は多いけど、頻繁に会う親友みたいな人は多くないです。 ――ちなみに何人ぐらいとか…。 綱:地元の友達が大好きで、そこも入れると全部で18人ぐらいかな。 ――多いですね (笑) 。 綱:え、そうですか? (笑) ――地元にはよく帰りますか? 綱:結構よく帰ります。ジュノンボーイでグランプリを獲った時の、ウブな自分を思い出せるから。僕ってめちゃくちゃ普通の人間だし、家族や友達からも「等身大。変わらないね」ってよく言われるんです。芸能人とか役者ってみんなキラキラしているし、そういう役ができる人は羨ましいと思いますけど、僕が戦うフィールドはそこではないと思っているんですよね。例えば市役所職員の頼人みたいな、一般的な役を求められるほうが嬉しいんです。 ――意外です。プライベートでの付き合いが、役者の軸にもなっているんですね。同世代の役者さんにライバル意識はありますか? 綱:仲のいい役者以外には、ライバル意識しかないです (笑) 。 ――それも意外です! (笑) 綱:デビューしてしばらくは、事務所の人に「もっと貪欲に」と言われるぐらい欲がなかったんですけど、2~3年ぐらい前から、少しずつ自分の中にそういう意識が芽生えてきたみたいです。だから、あ、この役は僕がやりたかったのに、とか思ったりもします。 ――事務所の公式サイトのプロフィールを見ると、スポーツはサッカーとスノボー、趣味はギター、サックスと幅広いですが、役作りのためなのでしょうか。 綱:めっちゃカッコつけちゃってますね。当時、書けるだけ書いたのかも。これを機に書き換えましょう (笑) 。最近アーティストの役をやってアコースティックギターを練習していたんですが楽しくて。だからギターは残して、あとは週1で行ってるサウナが趣味です。だいぶ変わっちゃいました! ――最後に、何者になりたいですか? 綱:僕の夢は幸せになることなんですが、いつか結婚して、できれば2人ぐらい子供がいる家族を作るのが理想です。だから“幸せ者”になりたいです。 堅実で安定志向の主人公・五十嵐頼人 (綱啓永) の前に現れたのは“30年後からやってきた五十嵐頼人”だと主張するオジサン (高橋克典) 。2054年の価値観と、今の価値観の衝突に揺さぶられながら、頼人は人生を生き抜くことができるのか…? 夜ドラ『未来の私にブッかまされる! ?』は毎週月~木曜22:45~23:00にNHK総合にて放送中。 つな・けいと 1998年12月24日生まれ、千葉県出身。2018年に俳優デビューし、スーパー戦隊シリーズなどに出演。主演を務めるNHK夜ドラ『未来の私にブッかまされる! ?』が放送中。さらに韓国発のWeb漫画を二部作構成で実写映画化した『女神降臨 Before』は’25年3月20日、『女神降臨 After』は’25年5月1日に公開予定。 ブルゾン¥63,800 (クルニ/クルニ フラッグシップ ストア TEL:03-6416-1056) シャツ¥35,200 (メアグラーティア/ティーニー ランチ TEL:03-6812-9341) パンツ¥39,600 (アーネイ/ジョワイユ TEL:03-4361-4464) メガネ¥40,700 (ワンスリー コンパウンド フレーム/デュアル TEL:03-6455-4690) その他はスタイリスト私物 ※『anan』2024年10月23日号より。写真・内田紘倫 (The VOICE) スタイリスト・三宅 剛 ヘア&メイク・荒木美穂 インタビュー、文・若山あや (by anan編集部) あわせて読みたいanannewsEntame 綱啓永「“普通”の人が少ないからこそ、それが強みになると気づいた」2024.2.2anannewsEntame 綱啓永「もう俺に怖いものはない」 『恋愛のすゝめ』で連続ドラマ単独初主演…2023.12.12anannewsEntame あなたの推しは誰? 10月期TBS系火曜ドラマ『君の花になる』で結成・8…2022.8.8anannewsEntame 宮世琉弥×原菜乃華「いい意味でお仕事という感覚がない」 『恋わずらいのエ…2024.3.19anannewsEntame NOA、待望の1stアルバムは「朝から夜まで時間の流れが感じられるような…2023.3.6