《私の最初の晩餐》彦摩呂の若手時代を支えたご馳走 母が送ってくれた“大量のそうめん”で作った「2種のつけだれそうめん」
食へのこだわりは尽きることなく
所属する事務所もないまま、オーディションを受け続けていた時期は、お母ちゃんが送ってくれる大量のそうめんが空腹を満たす頼みの綱でした。最初の頃は、めんつゆに玉ねぎのみじん切り、それにケチャップと粉チーズといった簡単なアレンジだったのが、いくばくかのお金が入ってくるようになると、凝っちゃいましたね。 和風でガッツリなら、めんつゆにさばの水煮とひきわり納豆、それにみょうが。アクセントは、七味より一味がおすすめです。カレー風味のつけだれはいまでも作ります。こくまろ(辛口)とザ・カリー(中辛)をめんつゆで割って、そこにフライパンで炒めたひき肉と玉ねぎ。隠し味は、コーヒーフレッシュ。 あとは、豚しゃぶのぶっかけ。冷しゃぶにした豚肉と大根おろし、茹でた生なめこと輪切りにしたオクラを、めんつゆとごまだれのダブルスープに投入。ささっとかき混ぜたら、お皿に盛ったそうめんにぶっかけて、ワイルドにすすってください。ここまでくると、もうけっこうな晩餐でしょ。もちろん、母親の味にはかないませんが。 最近、30年以上ぶりにハンバーグを作ってもらったんです。お母ちゃんのハンバーグは超特急で仕上げられるように、玉ねぎは粗みじん。早く確実に火を通すために、5人分を一気に煮込んじゃう。3人家族なのに5人分なのは、翌日、ぼくらに持たせる弁当のためです。一口食べたら、昔の記憶がブワーっと蘇って、「これや、これ!」。思いっきり褒めたかったのに、宝石箱も何も、シャレた表現なんてひとつも出てきませんでした。
母から送られたそうめんが若手時代を支えた味に
■「2種のつけだれそうめん」のレシピ ●材料(2人分) そうめん4束、納豆だれ、ひきわり納豆1パック、さば水煮(塩無添加)1缶、みょうが1本、万能ねぎ1本 A[めんつゆ3倍濃厚1/4カップ、水3/4カップ] ・和風ごまだれ 豚肉しゃぶしゃぶ用6~8枚(80g)、大根おろし80g、なめこ1袋、オクラ2本 B[めんつゆ3倍濃厚1/4カップ、水3/4カップ、 練りごま大さじ2、一味少量] ●作り方 【1】納豆だれを作る。[A]を混ぜ合わせて器に入れたらひきわり納豆とさば水煮を入れ、小口切りにしたみょうが、万能ねぎをトッピングする。 【2】和風ごまだれを作る。[B]の材料を合わせてよく混ぜ器によそう。鍋に湯を沸かし、豚肉を1枚ずつ入れて火が通ったらザルにあげ粗熱を取る。なめこは水洗いし、さっと湯通しする。オクラは塩ゆでし、小口切りにする。つけだれに豚肉、なめこ、大根おろし、オクラを入れて一味をふる。 【3】そうめんは茹でたらザルにあげ、流水で揉み洗いし、よく水気を切り、器に盛り付ける。お好みのつけだれとともにいただく。 【プロフィール】 彦摩呂/1966年、大阪府生まれ。1989年、秋元康プロデュース「幕末塾」の結成メンバーとして、メジャーデビュー。数々の映画、ドラマで人気者になると同時に、過去に例をみない日本を代表するグルメリポーターとして活躍を続ける。 写真/深澤慎平 料理・スタイリング/柳瀬真澄 ※女性セブン2024年11月7日号