50代長男夫婦、年金月18万円の74歳昭和気質の父を疎み“サ高住”へ押し込めるも…3ヵ月後「貯金2,400万円」を失い帰ってきちゃったワケ【CFPが解説】
父と母、どちらかが先立つと、ひとり暮らしをさせるか同居するかなど、残された親を今後どうするか悩む子どもは多いでしょう。高齢者施設への入居という選択肢もあります。その場合、新たな課題となるのが入居にかかる費用です。本記事では石田さん(仮名)の事例とともに、高齢親の老後資金についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
高齢施設へと追いやられた父
石田雄二さん(仮名/74歳)は夫婦で長男の家族と同居し、リタイア生活をしています。もともとは地域の中堅企業の役員を務めてきましたが、70歳で引退してからはほとんど外出することもなく、自宅にいることが多くなっていました。 若いころから妻の恵美さん(仮名)に家事は任せきり。家事はほとんど自分でしてこなかったため、リタイア後も恵美さんに頼り切りです。きれい好きなため家の中の掃除と庭の手入れだけは毎日欠かすことなく行っていましたが、インスタントラーメンひとつですら自分では決して作りません。トイレでトイレットペーパーが切れたら、「おい! 切らしてるぞ!」とトイレから大声をあげます。 また、50代の長男夫婦や孫たちの生活態度に対しても厳しく、夜遅くまで起きていたり、朝遅くまで寝ていたりするとその都度小言を言っていました。掃除がなっていないなどと、長男の嫁を責め立てたり、「なんで女が働きに行くんだ」と共働きである長男夫婦に絡みにいったり、それが原因で長男夫婦は喧嘩になることもしばしば。そんな雄二さんの存在を妻の恵美さんだけでなく、長男夫婦にも疎まれるようになってきました。 そんなある日、妻の恵美さんが先立つこととなりました。 母に先立たれた父をどうするか 恵美さんの死をきっかけに、息子夫婦は石田さんを施設へ入れられないかと考えるようになりました。当初は長男家族が家を出ようとも考えていましたが、高齢の石田さんをひとり残すよりも、見守りがついた施設に入ってもらったほうが安心という判断に至りました。 石田さんは当初猛反対。長男夫婦は、市街地にあり利便性もよく外出も自由、部屋もホテルのような施設だからとなんとか説得し、最終的にはふてくされる石田さんをしぶしぶながらも首を縦に振らせたのでした。